「このマスクが好きなの?」
マスクを外すと、隠されていた部分は僕のタイプではなかった。口ごもっていると、彼女は物陰に走っていった。しばらくして、好みのタイプの美女が近づいてきた。
「こちらの方がいいかしら」
背丈も服装も声までも同じなのに。彼女は会う人ごとに、ゴムマスクを取り替えているらしい。逃げだそうとすると、恥をかかされたと言って腕をつかまれた。
「面の皮をはがしてやる!」
互いにつかみ合いをしていたら、二人ともゴムマスクが外れてしまった。若い男女だったはずが、初老の男女の取っ組み合いになっていた。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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