このビデオは、そうした作用のもとで得られるイメージを、映像と音楽で表現したものである。神経らしきものが動きながら、伸びたり消えたりを繰り返している。これは薬物の働きによって、脳の神経が情報を途切れ途切れでしか、伝達できなくなっているかのようである。踊子も透明になって、輪郭だけが踊っている。我々が知覚している世界が、崩れかかっているのである。
現実の映像と幻覚が二重写しになるうちに、事物の輪郭まで壊れてくる。海のさざ波を映していたのが、原色の光に分離していく。陶酔感とともに、崩壊する感覚に浸っていく。そこには、甘美さと不吉な感覚が入り交じっている。それはそうした薬物が、死ぬ時に放出される脳内麻薬の効果に近いからだろう。
不意に天啓を思わせる音が響き渡り、画面に金色と青の光が、渦のように回転を始める。それとともに、意識はさらに深みへ、深みへと吸い込まれていく。死後に現れると言われる、この世とあの世をつなぐトンネルのように。
ふたたび最初のメロディーが奏でられ、画面を多数の神経が伸びたり消えたりする。しかし、波の輪郭は現れたものの、現実に戻ることは容易ではない。意識は高揚と低下の間でたゆたっている。
映像と音楽から得られた印象は、このようなものである。このビデオは1992年に発売された。収録されたVHSは耐用年数を超えており、映像は鮮明なままだが、音声は劣化して雑音が混じっている。見られなくなるのも時間の問題だろう。音声はCDとしてデジタル化されているが、このビデオ自体はデジタル化されていない。アナログとデジタルとでは、著作権料の支払いが桁違いとなり、デジタル化は困難だということだ。
なお、ステファン・ベックは、スティーブ・ベックという愛称を併用しており、同一人物である。詳しい情報を知りたい方は、以下のリンクにアクセスしてみるといいだろう。
https://legacy.stevebeck.tv/index.html
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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