2025年06月03日

ステファン・ベックの『ブレイン・ソーマ』

 これはステファン・ベックが、八幡書店の武田崇元の協力を得て制作したサイケデリック・ビデオの傑作である。ソーマというのはサンスクリット語で、古代インドの神酒を示し、不死の妙薬とされている。漢訳仏典では甘露と表され、悟りの境地を象徴したり、阿弥陀仏と同一視されたりした。その一方で、高揚感や幻覚作用も持つとされている。
 このビデオは、そうした作用のもとで得られるイメージを、映像と音楽で表現したものである。神経らしきものが動きながら、伸びたり消えたりを繰り返している。これは薬物の働きによって、脳の神経が情報を途切れ途切れでしか、伝達できなくなっているかのようである。踊子も透明になって、輪郭だけが踊っている。我々が知覚している世界が、崩れかかっているのである。
 現実の映像と幻覚が二重写しになるうちに、事物の輪郭まで壊れてくる。海のさざ波を映していたのが、原色の光に分離していく。陶酔感とともに、崩壊する感覚に浸っていく。そこには、甘美さと不吉な感覚が入り交じっている。それはそうした薬物が、死ぬ時に放出される脳内麻薬の効果に近いからだろう。
 不意に天啓を思わせる音が響き渡り、画面に金色と青の光が、渦のように回転を始める。それとともに、意識はさらに深みへ、深みへと吸い込まれていく。死後に現れると言われる、この世とあの世をつなぐトンネルのように。
 ふたたび最初のメロディーが奏でられ、画面を多数の神経が伸びたり消えたりする。しかし、波の輪郭は現れたものの、現実に戻ることは容易ではない。意識は高揚と低下の間でたゆたっている。
 映像と音楽から得られた印象は、このようなものである。このビデオは1992年に発売された。収録されたVHSは耐用年数を超えており、映像は鮮明なままだが、音声は劣化して雑音が混じっている。見られなくなるのも時間の問題だろう。音声はCDとしてデジタル化されているが、このビデオ自体はデジタル化されていない。アナログとデジタルとでは、著作権料の支払いが桁違いとなり、デジタル化は困難だということだ。
 なお、ステファン・ベックは、スティーブ・ベックという愛称を併用しており、同一人物である。詳しい情報を知りたい方は、以下のリンクにアクセスしてみるといいだろう。
https://legacy.stevebeck.tv/index.html


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2025年05月18日

和泉貴子の《クリスタルボウル セルフチューニング》

 クリスタルボウルについてよく知らない人が、いきなりこのアルバムを聞いたら、これって音楽なの? と自問するかもしれない。はっきりしたメロディーはなく、自然音にクリスタルボウルの音が重ねてある。振動しているクリスタルボウルの縁を、指でそっと撫でていくと、共鳴する音が大きくなり、音割れ寸前まで高い音が鳴り響く。
 存在するすべての物は、量子レベルでは振動し続ける波動であり、肉体も振動するエネルギーなのである。疲れがたまっていたり、体調が良くないときは、本来の波動からずれてしまっている。そこで、クリスタルボウルの波動に心身を共鳴させて正常な状態に戻す「セルフチューニング」を行うのである。
 収録されているのは7曲で1曲目のCrystal Bowl Prologueでリラックスしたあと、2曲目のRoom Tuningで部屋の空間を整える。3曲目のHeart Tuningでは、地球の心拍数である「シューマン共振」に身を任せる。4曲目のPhysical Tuningでは、光が頭の上から背筋を通っているのを感じる。カバラで言う「中央の柱」をイメージする形だろうか。5曲目のMind Tuningでは、脳波をシータ波に誘導して変性意識を体験し、意識と無意識の狭間を漂う感覚を味わう。6曲目の Crystal Bowl Groundingでは、シューマン共振とNASAが宇宙空間でとらえた「地球の音」をミックスしている。7曲目のCrystal Bowl & Nature sound healingで意識を地上に戻すグランディングを行う。
 ソファーなどに寄りかかり、力を抜いてクリスタルボウルの振動に身を任せればいい。なお、クリスタルボウルについて知りたかったり、身体にあるエネルギーセンター「チャクラ」とクリスタルボウルの振動を共鳴させたりしたい場合は、和泉氏の『あなたの中にある13チャクラで幸運を呼び込むCDブック』を購入されるといいだろう。


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2025年04月21日

好きな音楽で想像力を刺激する

 以前。Dr.Jeffrey Thompsonの《Creative Mind System》について紹介した。想像力が働いているときの脳波は、シータ波になっている。《Creative Mind System》の場合、Dr.Jeffrey Thompsonが想像力が働いている人の脳波を調査したデータをもとに、ピアノ曲に脳波誘導の信号を埋めこんだものと思われる。バイノーラルビートの原理を利用したアルバムでは、ステレオのイヤフォンやヘッドフォンで聞かなければ、脳波誘導の効果は出ない。
 文章を書こうと思っても、なかなか集中できなかったり、頭が働かなかったりするときに、《Creative Mind System》を聞き始めると、不思議なことにアイデアが浮かんだり、すんなりと書き進めることができるのだ。ただ、同じ曲ばかり聞いていても飽きてしまうので、自分の好きな音楽に、想像力を刺激する信号を埋めこんでしまえばいいと思った。
 やり方の基本は、「五次元への誘導瞑想音声を作る」で述べたことと同じである。i-doserのサイトから、inspire.drgというファイルを購入し、I-Doser Premiumでmp3ファイルを抽出する。
 次に、自分の好きなアルバムの曲をAudacityで読み込む。想像力を刺激する静かな音楽や、自然音から選べばいい。多くの楽器が鳴っているよりは、ソロのピアノやフルートなどがいい。クラシックなら、ショパンのピアノ曲などがいいだろう。今回はJasper Van't Hofの《Meditation》を選択した。
 このアルバムはタイトルが示す通り、瞑想的な雰囲気が漂い、自ずと内省に向かわせてくれる。静かな部分と激しい部分があり、音の強弱が著しいから、加工する場合は工夫が必要である。
 Audacityで読み込むと、全体として音が小さい部分が多い。そこで《Meditation》の方は音をやや大きくする。ただし、激しい部分を大きくすると、音が割れてしまうので、曲によって微妙に調整した方がいい。それに対して、i-doserのinspireはかなり音が大きく、ホワイトノイズにしか聞こえないので、音量を極限まで小さくする。脳波を誘導する信号が、聞こえるか聞こえないぐらいがちょうどいい。
 慣れてしまえば、好きな曲で想像力を刺激する音楽が自由に作れる。また、i-doserはさまざまな脳波誘導のファイルを売っているから、自身の目的に合わせて、さまざまな体験ができるだろう。ただ、著作権の問題があるので、作成した音声は他人と共有してはならない。


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