2025年06月30日

MQAが日本で評判が悪いわけ

 MQAはMaster Quality Authenticatedマスターテープと同等の音質を持つと認められたファイル形式で、サイズをコンパクトに圧縮できる技術だが、日本ではe-onkyoがQobuzに吸収されることで消え、MQA-CDのリッピングが分かりにくいことで敬遠され、欧米でMQAファイルを配信していたTidalが、日本では契約できなかったことで、MQA関連の機器が普及しなかった。
 MQAに関心を持った音楽マニアがMQA CDをデコードせずに聞くと、通常のCDよりも音圧が低く感じられる。MQA-CDはフルデコードしてこそ真価を発揮するからである。デコードの方法を知っていて、AudirvanaやRoonを使用しても、DACがMQAに対応していない場合、コアなハイレゾ、88.2KHzか96KHzまでしかデコードできない。352.8KHzや176.4KHzなどの超ハイレゾには再生されないので、MQA独特の透明な空気感が感じられないのである。
 AudirvanaやRoonは高価であるが、一度その音を聴いたらやめられないほど、パソコン内のファイルを高級オーディオの音に変えてしまう。さらに、MQA対応のDACは最近では一万円程度の物も出ているが、かつては数万円した。それだけの出費ができないユーザーの多くは、SonyのWALKMANでMQAを聴いているものと思われる。
 確かにWALKMANにはMQAのロゴがついているが、レンダラーの機能だけなので、88.2KHzまたは92KHzまでしかデコードできない。MQAはすべてのEQを切って聴くべきだと思っているユーザーは、コアな部分しかデコードされていない音を聴いてがっかりするのである。
 ただし、WALKMANにはクラシックやジャズ鑑賞用にエフェクトをかけたり、サラウンドに変換するなど、さまざまな機能がついている。MQAのコアな部分だけをデコードして、それを擬似的にフルデコードしたような音に変えることはできる。Sonyはカメラの場合もそうだが、現実以上にきれいに見せたり聞こえさせる技術には長けているからである。
 MQA CDはジャズでは352.8KHzや176.4KHzの物が多いが、クラシックでは88.2KHzの物が主流だという。これだと、Amazonの音楽配信で、排他モードで聴く96KHzよりも音質が劣ってしまう。しかもデコードの方法すら分かりにくいとなると、MQAの未来は明るいとは言えないだろう。


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2025年02月20日

第三版『MQA-CDのリッピングについて』(ePub)

 MQAはMaster Quality Authenticatedマスターテープと同等の音質を持つと認められたファイル形式で、サイズをコンパクトに圧縮できる技術です。MQA-CDのリッピングの方法とパソコンでの再生のほか、経営困難が報じられたMQAのその後について加筆しました。
 以下のリンクからダウンロードして下さい。
MQA3.epub

 ePubはiOSのiPadやiPhoneなどで読むのに適した形式です。iBooksなどでご覧下さい。Windowsでは紀伊國屋書店のKinoppy(http://k-kinoppy.jp/for-windowsdt.html)が、最も美しくePubのファイルを表示します。

 ブラウザからePubを開く場合、Googleのchrome(https://www.google.co.jp/chrome/browser/desktop/index.html)なら、プラグインのReadium(http://readium.org/)をインストールして下さい。
 firefox(https://www.mozilla.org/ja/firefox/new/)にもプラグインのEPUBReader(https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/epubreader/)があり、縦書きやルビなどにも対応しています。
 EdgeではePubは開けなくなりました。

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2025年02月03日

山本剛トリオの《A SHADE OF BLUE》

 アルバムのタイトルは、青の色調ということなのだろう。山本剛トリオのアルバムでは、《Misty for Direct Cutting》とともに、ハイレゾでの配信とともに、MQA-CDの形で販売されている。CD音質では、ピアノの倍音までとらえきれないのではないか。
 1曲目のSpeed Ball Bluesは、リズミカルで明るい楽曲。名前の示す通り、スピーディーで快活な、滑るようなメロディーが続く。やがてベースのみのソロとなるが、ピアノとドラムが加わって、次第に勢いを高めていく。
 2曲目のSpeak Lowは、コルトレーンの悲痛なサックスの調べでよく聴いた。このアルバムでは、管楽器がないためか、悲しみを覆い隠し、明るく振る舞う叙情的な曲調に変わっている。
 3曲目のThe Way We Wereは、映画「追憶」の主題歌。物静かな中に内面を見つめるまなざしが感じられる。
 4曲目のLike Someone In Loveは、あえて不協和音を際立たせ、メロディーをアレンジしながら始まる。原曲よりはかなり速いテンポで、ピアノのキーを強く響かせつつ、ドラムの勢いとともに高まりを見せていく。
 5曲目のBlack Is Colorは、短調のメロディーの楽曲で、小さな波が次第に強さを得ていくのだが、上り切った坂をゆっくり下りるとともに、スピードを落としていく。
 6曲目のGirl Talkは、女の子のおしゃべりを模しているのか、高音のキーを小走りで滑っていく。メインのメロディーに入ると、愁いを含むように、ゆったりとした歩みに変わる。強弱の減り張りが効いた演奏である。
 7曲目のMidnight Sugarは、真夜中をイメージしたベース主調の静けさの中に、ピアノの目まぐるしく速さの変わるキーの響きが、見事なコントラストを醸し出している。
 8曲目のLast Tango In Parisは、ラテンアメリカ音楽の情熱が控えめである。ヨーロッパ的な洗練された曲調は、知的に効果を計算されたかのように、冷徹なまなざしを感じさせる。力強いドラムの響きがしばらく続いたのち、元の愁いを帯びた曲調に戻っていく。
 9曲目のMistyは、ハンク・ジョーンズの淡々とした中に秘かな思いを込めたメロディーで親しんできた。山本剛はいくつかのアルバムでこの曲を演奏している。それぞれ微妙な違いはあるが、ピアノのキーを強く響かせ、華麗さを前面に出した演奏をしている。このアルバムの中でも、この曲がとりわけ冴えが際立つ。
 10曲目のBye Bye Blackbirdも、よく知られたスタンダードである。コルトレーンの演奏では、メロディーが次第に解体されていき、胸が引き裂かれるような痛ましさを感じさせられたものだ。山本剛の場合は、明るさと力強さ、リズムが際立ち、このアルバムを締めくくるにふさわしいエネルギーが感じられる。
 なお、Amazon Music UnlimitedやQobuzでは、44.1kHz/24bitで配信されている。演奏そのものは、192kHz/24bitで収録されたが、MQA-CDの場合は、デコードすると176.4kHz/24bitの曲となる。


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