2026年08月24日

北海道開拓の村(4)

 午後三時でランチは終わってしまった。喫茶しかやっていないので、二人は芋餅を食べた。そして、開拓の村の入口に戻ってきてしまった。ただ、馬車鉄道を追いかけたために、まだ見ていない建物がかなりあった。
 待ち合い旅館は、朝ドラの「マッサン」でもセットとして使われた。明治大正の頃の雰囲気が出ている。そば屋や床屋、郵便局、新聞社、教会、寺院など、見るべき物が多かったが、特に印象に残ったのは、鰊御殿である。「お城みたいだね」と友人が言った。そこにも労働者のタコ部屋があった。網元の長者の家はお屋敷のようで、日本と西洋の文物が並んでいた。その奧には米蔵や味噌蔵、網蔵など、いくつもの倉庫が並んでいた。
 午後四時に蛍の光が流れ、午後五時には閉園となる。約三時間過ごしたことになる。開拓の村のバス停から、新札幌行きのバスに乗った。もう五時半過ぎだが、昼食をとっていないので、新札幌駅に接続したビルで夕食を食べることにした。
 友人と別れて、新千歳空港行きの列車に乗った。到着してすぐに荷物検査をして、出発ロビーに入ったのだが、全日空の東京行きは午後七時半から八時に遅延となった。機種も変更された。もう夜なので、飛行機の外も暗くて何も見えない。今回の旅も終わろうとしていた。


二〇二五年十月一日 旭川空港着。旭川市科学館サイパルを見学し、市内の高砂温泉泊。
二〇二五年十月二日 大雪山の旭岳周辺を散策。高砂温泉泊。
二〇二五年十月三日 美瑛で四季彩の丘、白金青い池、白鬚の池などを巡る。特急カムイで札幌に出る。市内白石泊。
二〇二五年十月四日 大通公園で出店を回り、北海道開拓の村を見学。新千歳空港から羽田空港に向かう。


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2026年08月22日

北海道開拓の村(3)

 友人が追い掛けてきた。二人が立っていたのは、駅逓の建物の前だった。駅逓とは明治時代の郵便のことで、馬に乗せた荷物などを運ぶ中継所のようなものだった。駅という漢字に馬偏がついているのはそのためだ。駅といっても、鉄道が敷かれていたというわけではない。荷物などを運ばせた馬の剥製なども、駅逓の隣の建物に保存されていた。
 亘理(わたり)伊達家は仙台の伊達家の分家で、明治維新後、お殿様と一緒に開拓のために家臣団が北海道に渡った。残されている屋敷は、武士から農民になった亘理伊達家の家老岩間家の屋敷で、外見は農民の家らしいのだが、一番右の部屋はお殿様が激励に訪れたときにお迎えする客間で、大きな床の間には違棚などもあり、お殿様にお使いいただく以外は使っていなかったという。
 角を曲がって進むと、森林へと通じる道があり、丸太を横に渡した階段を、谷底まで下りていった。「こんなに広いとは思わなかった」と友人も驚いていた。
 下りきると吊橋があり、小川が流れていた。造材部飯場では、三十人余りの労働者が寝泊まりしていたようで、タコ部屋のように布団が壁沿いに並んでいた。騙されて連れてこられた者もいたんだろう。強制労働所のようなイメージだった。(つづく)


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2026年08月21日

北海道開拓の村(2)

 新札幌駅から、午後一時の開拓の村行きのバスに乗った。到着したのは一時二十分である。ここには以前北海道百年記念塔があったが、メインテナンスを怠ったために老朽化が進み、2023年には解体が完了してしまった。友人はその前に見ておこうと訪れ、その時に開拓の村を外から覗いたのだそうだ。
 いよいよ入場である。料金は大人千円だが、割引券があったので、八百円で入れた。僕がまず関心を持ったのは、馬車鉄道である。文明開化の頃、鉄道を敷くとなっても、蒸気機関車など高価な動力が使えない場合、手っ取り早く開通させるには、馬か人力に頼るしかなかった。
 乗りたいと言ったら、「走っているところを写真に撮った方がいい」と友人に言われた。明治時代の女学生の衣装を着た女性たちが乗りこんだ。休憩していた馬が引き出され、車体の前方につながれた。
 発車である。どうせ遅いんだろうと高をくくっていた。パカパカと蹄を鳴らしながら近づいてくる。写真を撮ろうとしたら、意外に速いので驚いた。線路がずっとまっすぐ続いている。円を描いているわけではないので、方向転換をどうするのかに興味があった。まさか転車台などないだろう。
 馬は人より速いので、どんどん先に行ってしまう。あとを走って追い掛けていく。正面で終わりかと思ったら、右に曲がっていく。曲がった先もレールがずっと延びていたが、その先は下り坂なのであそこが終点なのだろう。
 女学生たちが下りてきた。方向転換はどうするのだろう。思った通り、車体から放された馬が前の方に連れてこられた。原始的だがもっとも効率的な方法だ。(つづく)


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