2024年05月27日

笠間影印叢刊刊行会編『字典かな』

 古文書を読むには、古語と古典文法を知らなければならないが、それは活字化された古文書であって、それだけでは、手書きの古文書は手に負えない。
 最大の難関は、変体仮名である。明治中期に使用する仮名文字が制限される以前は、漢字の草書体が自由に、仮名文字として使われてきた。「江」(え)や「志」(し)など、元の漢字の字体に近い物や、現在の仮名文字に近い物は察しが付くが、「あ」と読む変体仮名には、元の漢字が「安」「阿」「亞」「惡」など複数あり、しかも書写した者によって崩し方にばらつきがあるので、頭になかなか収まらないのである。
 本書はひらがなの元になった漢字を、五十音順に並べ、それぞれの漢字の崩し方も示している。変体仮名は毛筆で書写したために、崩し方の差が大きいので、変体仮名の活字を一つ覚えただけでは歯が立たないのである。とにかく、大量の例を目にするのが第一歩だろう。
 まだ学習の途中ではあるが、巻末に掲載された手書きの例文を、いくらかでも読めるようになった。使い勝手の良さでは類書の中で群を抜いている。
 なお、一つ気になったのは、元の漢字を新字体に統一したことである。「亜」や「悪」ではなく、旧字体の「亞」や「惡」でなければ、どうしてそのような変体仮名になったのか、理解しにくいのではないか。


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2023年11月10日

漢字検索システム

 その漢字が小学何年生で教えられているのかなど、普段は意識しないものだが、小学校の教員が教材を作ったり、小学生向けの読み物を書くときには、留意する必要がある。
 ワープロの一太郎なら、何年生で教えられるかで、漢字にふりがなをつけることができる。ただ、一太郎を使っている人は一部だろうし、ふりがなをつける以前に、その漢字の使用を避けたい場合もある。
 ネットで調べていたら、便利な物を作成してくれている人がいた。「漢字検索システム」というもので、オンライン用とオフライン用がある。ある程度の文章でも、複数の漢字を調べて、何年生で習う漢字か、小学校では教えないか調べてくれる。
http://denki.nara-edu.ac.jp/~yabu/edu/kanji/kanji3.html


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2023年07月22日

登録日本語教員が国家資格に

 登録日本語教員は国家資格として法制化された。2024年4月から施行される。5年間の経過措置が取られるので、現在日本語学校で働いている日本語教師は、新たな資格を取らなくても、その期間は職場で働き続けることができる。
 ただ、現役の日本語教師の過半数は五十代以上である。文部大臣認定だった日本語教育能力検定試験は、知らぬ間に民間試験に格下げされ、あたかも無資格であるかのように、新たな国家資格の取得が求められているわけだから、現役教師の多くは不満や怒りを感じている。いくら経験があっても、国が求める水準に達しているかどうか怪しいという烙印を押されてしまったからである。たとえ講習や受験で多額の投資をしても、給与は低いままだろうし、年齢を考えれば数年しか働けないとなれば、多くの現役教師が試験を受けずに、経過措置が終わった段階で退職することだろう。
 私は大学で日本語教育を教えていたが、八年間で実際に日本語教師になったのは、知る限りでは一人しかいない。待遇の低さが大きな問題で、男性の場合、たとえ常勤になっても家族を養うことは難しい。
 二種類の筆記試験に合格した上に、教育実習を受けなければ、大学や大学院で日本語教育を専攻した学生であっても、登録日本語教員として認められない。これだけハードルを高くしては、新たに日本語教師を目指す若者は、皆無に近くなるのではないか。理想主義を押し通した結果がどうなるかは、五年後の実態を見れば明らかになるだろう。


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