2025年12月30日

ヴァーチャル怪談「耳なし芳一」

 これは小泉八雲の『怪談』に収録された「耳なし芳一」の物語を、ヘンリー川原の立体録音、人間の聴覚心理を利用したヴァーチャル・フォニックスで劇化したものである。ラジオの放送劇のようなものであるが、イヤフォンで聞くことで効果音の迫真性により、背筋に冷たいものが走る。
 源平の戦いで平家一門が入水した壇ノ浦の海岸で録音された海鳴りやカラスの鳴き声は、現実の音かと思うほどである。怨霊が近づくと重低音が頭脳を揺るがす。ヴァーチャル怪談としてはよくできている。しかも、本物の怨霊の声が録音されていたとして、聞く者の恐怖心をあおっている。それでは誰も聞かないだろうと、怨霊退散の霊符まで添えられているという手の込んだ仕様である。
 真夜中に暗い部屋で聞くと、最大の効果があるだろうが、余りにリアルなために、その夜の夢で再現される恐れがある。悪夢に悩まされたくなければ、日が沈む頃、まだ辺りがすっかり闇に包まれないうちに聞くぐらいがいい。
 この物語のクライマックスは、経文が書かれた芳一の体は怨霊には見えないが、耳にだけは書き忘れていたので、怨霊に耳をちぎり取られるという場面である。確かに迫力があるのだが、耳に手が触れる感触までは再現していない。ヘンリー川原のヴァーチャル・フォニックスは、音が脳内で音像化される点を重視しており、恐怖感を再現する点では成功しているのだが。
 類似した立体録音としては、ズッカレリが開発したホロフォニクスがある。音の体験をどこまでリアルに再現させるかに重点を置いた技術である。ドライヤーを耳のそばに当てられる音で、髪に当たる空気の流れを触感として感じる。いわば、共感覚を引き起こす技術なので、臨場感といった点では上なのではないか。


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posted by 高野敦志 at 01:47| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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