2025年09月10日

日本で一神教がはやらないわけ(3)

 チャクラと自然治癒力

 では、なぜ加持祈祷によって、癌などの病気が治ったりするのだろうか。科学的に考えれば、信仰を持つことで心にゆとりができ、ストレスから解放されて自然治癒力が高まるからということになる。現代医学ではそこまでしか言及しないが、人間は肉体的な身体と、気やプラーナといった生命エネルギーによる「微細身」から成っている。気功やヨーガは、そうした生命エネルギーを高める身体技能である。生命エネルギーの流れがよくなり、高まることで自然治癒力も回復するのである。
 ヨーガでは生命エネルギーのセンターであるチャクラを説く。主要な物は脊椎の基底部にあるムーラダーラチャクラから、頭頂のサハスララチャクラまでである。加持祈祷ではまず経典の読誦から始まり、信者の意識を内なる命に向かわせる。ついで、護摩を焚いて信者の意識を高揚させる。火は智慧やエネルギーの象徴であり、煩悩や病魔を焼き尽くすのである。日蓮宗では一般に護摩は焚かないが、一部の寺院では『法華経』を唱えながら火を燃やす。それは火が生命エネルギーを高める効果があるからである。
 法力がある僧侶かどうかは、読経する声を聞けば分かる。腹の底から響くような声が出ており、読経の声とともに僧侶の生命エネルギーが倍加して、本堂を包まんばかりになるとき、それに刺激を受けた信者の生命エネルギーも高まるのである。
 太鼓がどんどんと打ち鳴らされると、チャクラのうち、生命エネルギーに直結したムーラダーラチャクラが刺激され、スムーズな流れを回復した信者のエネルギーも倍加していくのである。
 日蓮宗の場合で言えば、御題目を唱えることで、胸や喉のチャクラが刺激され、精神的な安心が得られるとともに、日蓮宗独特の高い音を出す木魚や木剣が、第三の目や頭頂のチャクラを刺激して、信者の霊性の発現を促す。それと同時に、信者自身が叩く太鼓で、ムーラダーラチャクラを耳と腕の骨から伝わる振動で刺激するのである。
 日本にはチャクラを体系的に説いた後期密教は伝わらなかったというが、道教の導引などは知られていたし、丹田に気を貯めたり、胸に月輪を思い描いたり、眉間に神経を集中させたりなど、チャクラ自体の知識はなくても、そのエネルギーを高める方法は知っていた。さらにそれを増幅するための火や、木魚、太鼓を利用した儀式を行うことで、生命エネルギーを最大にする方法を信者に施してきたのである。
 最初の命題に戻るが、なぜ日本ではキリスト教などの一神教が広まらなかったのか。それは仏教が精神的な安心ばかりではなく、身体エネルギーを高める儀式を行っていたからで、そうした身体技法に乏しいキリスト教には、関心が向かなかったからだろう。それは密教が盛んなチベット文化圏で、キリスト教の宣教師が出向いても、容易に信者が得られなかったことと軌を一にする。


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posted by 高野敦志 at 23:49| Comment(0) | 宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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