日本にキリスト教が伝わって500年近く経つが、キリスト教文化に対する理解は深まったものの、信者の数では1%に満たないらしい。日本人はあらゆるものに命を感じるアニミズム的な感覚を持っており、それが八百万の神々への信仰とつながっている。この世を超絶した唯一神には関心がないのである。
古来の神道と共存してきたのが仏教で、特に真言密教はすべてを大日如来の表れと説くので、一見唯一神信仰と混同されがちだが、正確には汎神論と言った方がいい。様々な如来、菩薩、明王、神々も、人間や動物、山川草木までが大日如来の表れとされる。たとえ現在は迷いの世界にあっても、その根底には悟りを開くための仏性があり、それを思い出すだけでいい。すべての物に命を感じる神道的な感覚と、密教の汎神論的な思想は相性が良かったのである。
同じ密教であっても、真言宗の密教と天台宗の密教は異なる。加持祈祷を見る限りでは同じように見えるが、真言宗が大日如来を中心とした密教であるのに対し、天台宗が『法華経』を中心とした教義に、密教を融合させたため、『法華経』が説く「久遠実成の釈迦如来」、いわば神格化された釈迦如来を、大日如来と同一と考える。一方、真言宗では釈迦如来も大日如来の表れの一つに過ぎない。(つづく)
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