退行催眠による前世の記憶というのは、本人が過去に読んだ小説の影響などが考えられ、たとえ過去にそのような人物の存在が認められても、その人物の前世だったと認めることは難しい。それに対して、前世の記憶を持つ子供の証言は、真実を明らかにする上では有効である。
前世の記憶という証言の中には、作り話や虚言症によるものも含まれるだろうが、前世の記憶を持っていたとしか考えられない例も少なくない。前世の記憶を持つ子供の多くは、前世に事故や事件で、突然命を絶ちきられた場合が多い。しかも、銃弾の痕や刀傷を思わせる痣が、子供の肉体に現れることが多い。
これは魂が前世の記憶を維持していて、生まれ変わるときに、肉体の形成に影響を与えるという可能性を示唆する。絶ちきられた人生をやり直したいという強い意志が、本来は忘却するはずの前世の記憶を残していると考えられる。
では、前世と現世、現世と来世にはどのような関係が想定されるのだろうか。仏教やヒンズー教では六道輪廻が主張され、悪行を重ねると、畜生道や地獄に落ちると言われるのだが、犯罪に手を染めて殺された場合でも、人間に生まれ変わっている。動物に生まれ変わる可能性もなきにしもあらずだが、多くは人間として生まれ変わるようである。
男性は男性に、女性は女性に生まれ変わることが多いが、男性が女性に、女性が男性に生まれ変わることもある。生まれ変わる先は、同じ一族や民族のことが多いが、戦地で死亡した兵士が、現地の異民族の異性に生まれ変わった例もある。
生まれ変わる先が同性の場合、容貌や性格が前世と似ている場合が多い。これも肉体が魂に宿る際に、大きな影響を与えているからだと考えられる。
では、なぜ人間は生まれ変わるのか。それは人生を繰り返すことで、様々な経験を重ねて学習していくためだという。だとすれば、魂はいくつもの人生を超えて、壮大な旅を続けていくということになる。ただ、死後どれくらいで生まれ変わるかは一定ではなく、人生と人生の間がどうだったかという記憶を持つ者も少ない。死んで記憶が断ち切られ、気がつくと子供の肉体に宿っていたというのが一般的なのだろう。
参考文献
ロイ・ステマン『人間は本当に生まれ変わるのか?』(力丸祥子訳 きこ書房)
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