2025年07月17日

鶴ヶ城とさざえ堂(6)

 境内には飯盛山で自決した白虎隊の若者の霊が、弁財天とともに祀られている。そこからさらに山道を上った所に、白虎隊の若者の墓がある。その精神の貴さにイタリア人も感動して、右方にローマ市寄贈の碑が建てられている。
 最後に見学したのは、会津武家屋敷である。すでに午後四時半になっていた。入るとすぐに、柔道をしている二人の銅像があった。西郷四郎の像である。会津藩家老西郷頼母の甥で、養子になった人物である。小説『姿三四郎のモデルであり、夏目漱石の『坊っちゃん』に登場する数学教師山嵐も、西郷四郎をもとに創造したものだという。
 正面の屋敷は、西郷頼母の屋敷を再現したものである。正面玄関で御辞儀しているのが、西郷の妻女だろう。藩校の日新館の授業風景、会津藩の子弟に教えられた什の掟などが展示されている。最もショッキングだったのが、西郷頼母の妻子が自害する場面。生きて虜囚の辱めを受けずという考えから、死に装束に着替え、屏風を逆さまに立て、妻の千重子が娘たちを殺し、自らも命を絶った凄惨な場面が再現されていた。西郷の屋敷に侵入した新政府軍の兵士は、息も絶え絶えの少女に、介錯を求められたという。
 そのほか、囲炉裏や台所の釜や膳、急須、徳利、火鉢、化粧の間の鏡、手斧などの大工道具も並んでいた。西郷頼母の妻千重子と、幼い娘たちが毬で遊ぶ姿も再現されていたが、その座敷で後日、妻子らは自刃したのである。
 外はしとしと雨が降っていた。日が暮れてきて、座敷に明かりがともると、何とも情緒のある眺めとなった。すぐに暗くなり、雨の勢いは増してきた。(つづく)


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posted by 高野敦志 at 00:17| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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