2025年02月21日

映画「ザ・シンプソンズ」

 アメリカの人気番組「ザ・シンプソンズ」の劇場版を見た。シンプソン・ファミリーが繰り広げるギャグアニメで、物語はハチャメチャでぶっ飛んでいる。アメリカ人に受けても、日本人には余りにシュールすぎてついていけないかもしれない。
 自然保護を訴えるバンドが、群衆に石をぶつけられてメンバーが亡くなる。その葬儀に教会にやって来た主人公ホーマーは、キリスト教をけなす。祖父のエイブラハムは神がかりになり、これから不吉なことが起こると予言する。屠殺されそうな豚を助けたホーマーだが、糞尿を湖に捨てたことで、故郷スプリングフィールドは、汚染の拡散を防ぎたい政府によって、ドームの中に閉じこめられる。
 それからの展開は映画を見ていただくことにして、「ザ・シンプソンズ」にちりばめられた政治批判やアイロニーに注目してみよう。政治家なんか何も考えずに政策を決め、市民の生殺与奪をほしいままにしている。キリスト教なんかより、イヌイットの宗教の方が、余程人を改心させる力を持っている。スプリングフィールドは、ドームに閉じ込められるが、これはこの星が天蓋というドームに覆われており、人間が宇宙になんか出られないことを暗示しているのではないか。
 映画版においては、テレビ版で見られるような、人工地震の装置や、新型コロナウイルスのワクチンが生物兵器であることなど、余りに過激な暴露は控えられている。シンプソン・ファミリーが東京を訪れたとき、大地震が起こって大津波が押し寄せる話も、テレビ版でしか見られない。とはいえ、劇場版でも分かる人間が見れば分かる暗示が、随所にちりばめられている。
 あと、「ザ・シンプソンズ」の大きな特徴は、ギャグとアイロニーの連発で、オリジナル・バージョンの日本語吹き替えには、「有難う」の代わりに「アリが十匹」という台詞が出てくる。英語版にはないしゃれで、酒井法子の「のりピー語」を思わせる。徳川時代の江戸っ子はこの手の言葉遊びが好きで、「恐れ入谷の鬼子母神」や「下戸に御飯」など。そうした感覚についてこられないお堅い人には、「ザ・シンプソンズ」はチンプンカンプンなのだろう。
 ちなみに、DVDで見る場合、英語版で日本語の字幕を見るか、オリジナル・バージョンの日本語吹き替えでご覧になるといい。劇場版の日本語吹き替えは、棒読みで余りに評判が悪いので、オリジナル・バージョンの日本語吹き替えがつけられたのだろう。


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posted by 高野敦志 at 01:00| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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