これはフィラリアですねと言って、獣医はガラス瓶にたくさん詰められた、白いミミズみたいな虫を見せてくれた。蚊に刺されることで、犬の血管に入り込み、成長して心臓に詰まると、宿主の犬を殺してしまうのだ。
手術するって方法もありますが、あとは生きられるだけ生かすんですね。今だったら大金がかかっても、犬猫の命を救うのだろうが、当時は動物を手術するなんて、金持ち以外には考えられなかった。サブの場合も、成り行きに任せることになった。
数週間後、サブがひどくあえいでいるので、獣医に往診に来てもらった。注射を打ってくれたが、一時凌ぎに過ぎなかった。今夜が山かもしれないと言うので、獣医に預かってもらうことになった。車の荷台に乗せられたサブは、寂しそうな目でじっとこちらを見ていた。これが最後の別れになることに、本能で気づいていたからだろう。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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ラベル:犬,柴犬,エッセイ