2021年05月27日

当たらない予言

 占い師のもとで修業をしていた弟子は、予言がことごとく外れたことで、師のもとを去ることにした。
「長い間お世話になりました。父の言うとおり、正業に就く決心がつきました」
「そうか、お前もわしを見限るというのだな。それもよかろう。この前出した地震の予言も、外れてしまったからな。災害の予言をすると、そんなこと、あってたまるかと人々が思うようになる。すると、集団の意思が未来を変えようとして、発生する確率が高かった災害が、回避されてしまうのだ。だから、災害を予言して当たった方が、むしろ哀しいのだ。回避されたおかげで、私はうそつきだの、いんちきだの、罵詈雑言を吐かれるわけだが、内心では喜びを感じているんだよ」


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:27| Comment(0) | ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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