2025年02月10日

白老のウポポイ(2)

 白老の駅から十分ちょっとの所にアイヌ文化を紹介する施設ウポポイはある。入場料は千二百円である。友人も白老は訪れたことがあるのだが、その頃はほとりにあるポロト湖の岸辺に立って、いい所だねと家族と話し合ったそうだ。現在は湖畔も施設の中に取り込まれている。
 コタン広場では、アイヌの踊りが終わるところだった。そこで、国立アイヌ博物館の中に入ることにした。アイヌが儀礼に用いるイナウは、神道の幣のような物である。アイヌの刀や漆器は、和人との交易で手に入れた物だろう。アットゥシ(厚司)は樹皮を裂いて織った着物で、アイヌ独特の文様が施されている。
 アイヌは生まれると、赤児のうちはシンタという揺り籠に載せられる。杭を地面に刺したり、輪投げをしたりして遊ぶ。大人になる前に、漁の方法を習ったり、山菜採集の手伝いをさせられる。大人になると、囲炉裏の前で結婚する。男は狩猟に出るようになり、女は火のカムイに守られながら出産する。死に装束は人目に付かぬようにし、未完成のままにしておく。衣装にも魂が宿っているので、完成すると着てほしくなって、死人が出てしまうからだという。(つづく)


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2025年02月08日

苫米地英人の『「気功」洗脳術』について(3)

 苫米地氏の気功術の特徴は、気をエネルギーとしてとらえ、それによって情報が伝達されるという点だ。エネルギーそのものの力よりも、そこに情報を載せることを重視している。気功師が治療できるのは、気に載せて情報を送り、病に取り憑かれている人に、肉体を正常化させる情報を送れるからだという。これを応用すれば、自分自身のプラスのイメージを気に載せて、頭に刷り込むことができる。
 これを読んで思い出したのは、マーク・アレンの『マジカル・パス』である。ヘミシンクのプログラムは、原書の抄訳に過ぎず、願望実現に重要なアファメーションと、カバラの「中央の柱の技法」については触れられていない。夢の実現のためには、大切な言葉を繰り返し読み上げるとともに、生体エネルギーを活性化することが重要なのに。苫米地氏が気功と願望実現を結びつけたのも、活性化された気に載せて脳に情報を送り、先入観を書き換えるためである。
 『「気功」洗脳術』には、苫米地氏のギター演奏がCDで収録されている。交感神経の暴走を防ぐために、逆腹式呼吸を行う。息を吐くときにお腹を大きくし、息を吸うときにお腹を小さくするのである。ロック調のギターは最初、ムーラダーラチャクラを刺激する。快感をイメージして気を上昇させるのだが、ロックの音に気が共振を始める。タントラ仏教や房中術でセックスが利用されるのは、グンダリーニの上昇が、性感と密接に関係しているからだろう。
 ヨーガの達人なら、頭頂のサハスララチャクラまで、気を上昇させるわけだが、ほとんどの人は頭頂の梵孔が開いていない。無理に上昇させると、出口のないエネルギーは暴発しかねない。そのためだろう、苫米地氏は上昇した気でアジナチャクラを刺激したあと、額からエネルギーを気の玉として出し、宇宙空間を走らせた後、アジナチャクラに戻して、任脈を通してムーラダーラチャクラに戻す。その繰り返しで大周天が可能になるというのだ。
 気の感覚がつかめない人がやっても何も起こらないだろうが、気功やチャクラ瞑想で気をコントロールできる人が、苫米地氏の音楽を聞きながら、指示された通りの瞑想を行えば、クンダリーニが動き出すのに驚くだろう。


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2025年02月06日

映画「八犬伝」について

 小学生の頃、NHKで「新八犬伝」という人形劇をやっていた。「八犬伝」を知ったのはその時が最初で、その後現代語訳で読んだ。
 2024年秋に封切られた映画「八犬伝」は、山田風太郎の原作を曽利文彦監督が映画化した物。曲亭馬琴を役所広司、葛飾北斎を内野聖陽、馬琴の妻お百を寺島しのぶが演じた。
 八犬伝を書いた馬琴に、浮世絵の北斎を友人として対置させ、その上、「東海道四谷怪談」の鶴屋南北、洋学者で画家の渡辺崋山まで登場させたのが「実」の世界。八犬伝の伏姫と八剣士、里見家存亡の危機を描いた『南総里見八犬伝』のストーリーを、CGを使って派手に表現したのが「虚」の世界。両者を対照させつつ、最後に合一させている。
 それに加え、不条理な現実だからこそ、勧善懲悪の世界が必要だとする馬琴と、悪が跋扈するのが現実だとする鶴屋南北の対立も生きている。現実の馬琴は、悪妻お百の罵詈雑言に悩まされ、息子の宗伯には先立たれ、「八犬伝」の執筆中に失明する。嫁のお路の口述筆記で、二十八年かけて巨編を完成させる。不幸が続いた馬琴の一生を顧みると、勧善懲悪なんて絵空事のようだが、それを楽しみにした多数の読者に応えて、苦難を越えて物語を完結させたことで、「虚」を「実」に変えたとも言える。
 リアリズムの馬琴の世界と、ファンタジーの「八犬伝」を組み合わせたことで、文学における「虚」と「実」の問題に深く切り込んでいる。こうした複雑な世界をわずか二時間半にまとめ上げられたのは、映画という媒体だからである。これを文字だけで表現するとなると、大長編の規模と緻密な表現が要求される。
 登場人物のうち、女性で最も演技が素晴らしかったのは、お百を演じた寺島しのぶである。よくもまあ、こんな悪態をつく老婆に化けたもんだと、圧倒させられた。
 ちなみに、松本清張が文豪の妻は悪妻だという説を述べている。清張は夏目漱石の妻鏡子と森鴎外の妻志げを例に挙げていたが、馬琴の妻お百も典型的な悪妻である。

 映画「八犬伝」はAmazon prime videoで公開されている。


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