2025年01月23日

石原慎太郎の「灰色の教室」

 主人公義久が通う高校は、半ば学級崩壊している。生徒たちは勉強などする気はなく、教師もお座なりの教え方をしている。授業中だというのに、遊んだり弁当を食べたりしている。
 あるとき、クラスメートの嘉津彦が自殺未遂をする。生きることが死ぬほど退屈で、そのために睡眠薬による自殺を繰り返す。一方、義久は女遊びを続けるうちに、年上の女性美知子との間に、肉欲ではないものを見出す。エネルギーが有り余って、それを何に向けたらいいか分からず、女性を性のはけ口としか思っていなかったのが、子供ができたことで、義久の意識にも変化が現れる。
 物語は嘉津彦が三度目の自殺未遂に失敗し、死の恐怖を味わったことで、生きたいと思うようになり、美知子との子を堕胎させようとしていた義久も、結婚して子供を育てることを考えるようになる。エネルギーを何に注ぐべきか分からず、非行に走っていた義久と、生きる意味を見出せず、退屈な余り自殺未遂を繰り返していた嘉津彦が、ようやく大人への第一歩を踏み出すところで、物語は終わると思った。
 しかし、予定調和的な終わり方を、作者は好まなかった。美知子が階段を踏み外し、胎児を流産させたことで、義久は父親にはなれなかった。義久が美知子を哀れに思い、愛情を深めていくのか、胎児が死んだことで美知子と別れるのか、結末が分からぬまま、読者は闇に投げ出される。想像力が働くスペースとしての闇に。


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2025年01月22日

EBS(緊急放送システム)は稼働しない?

 トランプ大統領が正式にアメリカ大統領として復帰し、アメリカを復活させるための大統領令に署名した。EBS(緊急放送システム)は、トランプ大統領就任が妨害された際に行うための非常手段だったという。これでアメリカは大きく変わり、情報開示も次々に行われていくのだろう。新たな情報は通常のシステムを通じてなされていくので、何月何日からEBSが稼働するとかいうSNSの情報には、もう煩わされる必要はないということだ。
https://x.com/lilyandmelon/status/1881629539480285666
 日本という独立国は存在せず、戦争屋の傀儡が民主主義の仮面をかぶって、利権を貪ってきた。国会議員の大半は、先祖が朝鮮半島から渡ってきた帰化人で、日本人とよく似ているが、日本人を助けようなどという心は持っていない。与党が利権を貪り、野党が国民の味方のふりをして肝心な時には動かないのも、そのためだという。
 日本の支配層は政治家ばかりでなく、マスコミも経済界も朝鮮半島系の帰化人が多くを占めている。トランプ大統領は日本に巣くう戦争屋を排除する方針だというが、まだ多くは屈伏していないのだろう。国民の大半が真実を知らない国には、EBSが必要だったと考えられるが、EBSを行わずに改革していく方策が採られる以上、日本人の覚醒も先送りされる流れなのだろう。
 日本でも情報開示が、少しずつ行われていくものと期待したいが、日本のマスコミの抵抗が続くとしたら、テレビ局の廃局などの強硬措置が取られるのではないか。国民はSNSを通じて、マスコミが報道しようとしない情報を、共有していくしかないのではないか。


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2025年01月19日

石原慎太郎の「太陽の季節」

 これは石原慎太郎が、一橋大学在学中に『一橋文芸』に発表し、芥川賞を受賞した小説である。この作品には賛否両論があった。あふれるような力を感じる反面、描写に深みが感じられず。風俗小説の域にとどまっているという点である。
 拳闘に打ち込む竜哉には、自分では処理しきれない力の躍動を感じる反面、恋人となる英子には顔がなく、そもそも人間臭が感じられない。それを正当化するのが、「すべての感情は物質化してしまう」とか「恋は戯画的な意味合い」を持つという語り手の主張である。
 とにかく、すべてが即物的で、行動しかないのだ。女は青年たちにとって「欠くことのできぬ装身具」である。とりわけ、竜哉にとっては女は玩具だった。「自分の好きな玩具を壊れるまで叩かなければ気のすまぬ子供に過ぎない」のである。妊娠させた英子に中絶をさせたあげく死なれると、「一番好きだった、いくら叩いても壊れぬ玩具を永久に奪った」として、英子の遺影に香炉を叩きつけ、拳闘のパンチングバッグに現れた英子の幻影を、夢中で殴りつけたのである。ばかばかばかと泣き叫ぶ幼児のように。
 お座なりの描写と会話、語り手の長広舌で物語は展開していく。しかも、肝心の英子の妊娠と中絶、そして死を、取って付けたようにあっさりと済ませてしまう。粗筋だけ見るとたわいないし、引き込まれるような描写も少ないのだが、この作品が人気を博したのは、どうしてだろうか。
 陰茎を外から障子に突きつけたという、刺激的な描写も要因の一つだろうが、これはのちの作者には使えぬ手である。竜哉と英子の恋愛ゲームや、自分がしたいことをしたいように行い、ヨットで夜の海に漕ぎだして、酒を飲んだ上に、海に飛び込んで恋人と戯れたりなど、若者の空想を刺激して、現実ではかなわぬ行為を、想像力の中で実現してくれるという点である。恋人との悲恋が女性の涙を誘うのだとしたら、この作品は若い男がやってみたい冒険を仮想的に体験させてくれる点で、カタルシスが極めて強いのである。



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