2024年10月14日

詩と小説における言葉(2)

 では、詩の言葉と小説の言葉では、どのような違いがあるのだろうか。詩といっても、典型的な定型詩と、小説の文章に近い散文詩があるので、定型詩と小説の言葉を比較することにしよう。
 詩の大きな特徴は、何よりも言葉の一語一語に読み手の意識が集中し、必ずしも言葉の連なりから生じるイメージを、形成するとは限らないということである。形成を妨げているのは、言葉の一語一語が謎を帯びており、意味するところが一つに限らないからである。
 それに対して、小説の場合は読み手が物語世界に没入すると、言葉を媒介してイメージが生じるという過程が忘れ去られるのである。
 一人称小説における語り手や、三人称小説における視点人物の立場から、作品世界をイメージするので、言葉の一語一語に意識が集中することはまれである。
 とはいえ、小説も一義的な世界観を提示するわけではない。悲劇と思われてきた小説が、読み手によっては喜劇としてとらえられたりする。作品の解釈が多様なほど、小説は豊かな作品世界を読み手に提供しているのである。


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posted by 高野敦志 at 00:00| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする