2024年08月16日

桜沢如一の『無双原理・易』について

 易というと、一般の人には大道易者や「当たるも八卦、当たらぬも八卦」で、当てにならない占いぐらいに思われているようだ。ただし、それは大道易者が、赤の他人について、背景をよく知らずに占っているからであって、易の真実を理解した人が占えば、正しい導きが得られるらしい。心理学者のユングは、無意識との対話として易をとらえている。易の示す忠告が的を射たりするのは、無意識と選ばれた卦の間に、非因果的な連関があるからで、こうした意味のある偶然の一致を「共時性」としてとらえているのだ。
 桜沢如一は、易の占いとしての側面には深入りしていない。八卦には「乾」「震」「坎」「艮」「兌」「離」「巽」「坤」があるが、「無双原理」として桜沢が示しているのは八卦のみで、六十四種類ある卦については考察していない。
 ここで挙げられた八卦は、陽が三本の「乾」から陰が三本の「坤」までである。すべての根源である「実有」から「陰」と「陽」が生じ、「陰」と「陽」の組み合わせと、すべてが陽の「乾」とすべてが陰の「坤」を加えて八卦となる。桜沢は八卦をすべてが陽からすべてが陰になるように並び変え、健康を保つためにどうすればいいかを示している。
 東洋医学、古代中国医学の基本は、陰陽のバランスを保つことであり、病気という物は陰陽のバランスが崩れているためにかかると考える。病気の根本にある陰陽のアンバランスを正せば、症状もやがて消えて健康体になると考えるのだ。桜沢は元素を分光学によって、陰陽という指標に基づいて図示している。陽に偏って症状が出ている場合には、陰に属する元素を含む食物や漢方薬を取り入れればいい。
 東洋医学は陰陽のバランスをとることで、病気の根源を滅するという方法を取っている。それによって慢性病などの根本的な治療が可能となるが、陰陽のバランスを取るのには時間がかかる。西洋医学では同じ症状と診断する場合でも、東洋医学では陰陽のアンバランスが原因と考えるから、処方する漢方薬も異なるし、体力や体型によっても、処方する薬の種類や分量が異なる。
 現在は一般の病院でも漢方薬は処方されるが、西洋医学を学んだ医師が、陰陽のバランスに基づく東洋医学を理解していない場合、処方を誤って症状を悪化させる恐れさえある。患者自身も東洋医学について学んでおくことが、安全性という観点から望ましい。
 即効性という点で、東洋医学は西洋医学に劣ると見られがちだが、西洋医学に基づく薬品は、対症療法で症状を抑えるだけで、病気の根本的な原因については、看過してしまいがちである。慢性的な病気の場合には、陰陽のバランスを取るという東洋医学に優位性があるのだ。ただし、歯の治療などは、東洋医学の最も不得手とする分野であり、陰陽のバランスですべての病が完治するわけではない。


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posted by 高野敦志 at 01:33| Comment(0) | 宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする