十時四分発「リゾートビューふるさと」に乗った。椅子に長野のマスコット「アルクマ」の縫いぐるみが置かれていた。
長野を出て三十分ほどで姨捨の日本三大車窓が見えてきた。電車はまず坂道を直進し、スイッチバックして姨捨駅に入った。その後、ふたたび直進していく。通過する特急列車は、スイッチバックをしない。姨捨駅に入るために、スイッチバックするのである。
姨捨駅に到着した。十五分停車する。高台から盆地の端から端まで見渡せる。手前には棚田が広がっている。どこかで見たようなと思ったら、ほったらかし温泉に行く途中、フルーツ公園からの眺めとそっくりだった。ただ、車窓からこれだけの風景が眺められる場所は他にない。根室本線の落合〜新得(しんとく)駅間の狩勝峠と、肥薩線の矢岳(やたけ)〜真幸(まさき)駅間はともに、水害で寸断されて廃線、および廃線の危機にある区間なのだから、篠ノ井線の姨捨駅から見える善光寺平が、唯一現在でも車窓から眺められる絶景なのだ。
友人が跨線橋を渡って、姨捨駅の駅舎に入っていった。記念切符を買って、弟にやるのだろう。僕も一枚買うことにした。(つづく)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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