2024年03月29日

小野清秀の『不動尊霊験祈祷法』

 小野清秀には『加持祈祷秘密大全』という本がある。真言秘密の巻、神仙霊蔵の巻、神法秘訣の巻から成る。秘密仏教、神仙道、神道の祈祷法に関する百科事典であり、一般に知られていない秘法の概要を知るには、不可欠というべき書物である。
 今回紹介する『不動尊霊験祈祷法』は、加持祈祷の中で、特に不動明王について詳述している。本来は真言密教、天台密教、修験道の行者向けに書かれたもので、儀礼に関して事細かに説明している。
 護摩と言えば、不動明王というぐらい、日本人には親しまれている。大日如来が難伏の者を仏道に入らしむるために、忿怒尊の姿で現れたものとされる。梵語では、アチャラといい、一説によれば、シバ神が仏教化したものとも言われる。ただ、インドや中国などでは、日本におけるほど、信仰を集めたわけではない。「弱きを助け強きをくじく」仏として、日本では深く信仰されている。真言宗、天台宗の密教寺院の本尊は、多くが不動明王である。また、日蓮宗の大曼荼羅にも、不動明王と愛染明王の種子(梵字)が描かれている。
 小野清秀の『不動尊霊験祈祷法』には、加持祈祷の法式、護摩法のほか、不動明王に従う八大童子、在家における祈念法、「不動経」、不動金縛り秘法などについて述べられている。
 特に、敵と戦うための金縛り秘法については、詳細な説明がなされている。これは道教の九字と結びつき、敵を倒す護身術として広く知られた。武術の気合や禅僧の一喝も、修錬を経た者の精神力で、相手を圧倒するという点で、不動金縛り法や九字と深いつながりがある。
 仏教と敵を倒す護身術がなぜ結びつくのか、現代人には理解しにくいだろうが、少林寺拳法が禅寺から広まったり、剣禅一如が説かれたりするなど、精神修養の点からすれば、仏教と護身術は通底するところがあるのだ。


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posted by 高野敦志 at 02:07| Comment(0) | 宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする