研究所では、ニコラ・テスラが怒ったり、身に危険が迫ったりすると、閃光が走ったりした。それは心理的な放電か警告なのである。回転磁界や交流電動機を発明したのは、二十六歳の時だった。ブダペストで友人と日没を見ていると、燃えるような色の周りを、無数の火が回転していた。テスラは『ファウスト』を思い出して、いくつかの節を朗誦していた。そのとき、ぼうっとした状態で、回転磁界と交流電動機を見たのだ。
雷鳴と稲妻の中だけに、音が存在するわけではない。明るさと色の変化の中にも存在する。色を聞くこともできるのだ。それぞれの稲妻と雷鳴は異なっており、ニコラ・テスラはそれらを、身近な人や敬服している人の名で呼んだ。雷の中で母や兄弟や、セルビアの歴史上の人物が生きているのだ。燃える火が浅瀬に当たり、稲妻と雷鳴は絡まり合った。一晩中やむことなく、大地に貴重な雨をもたらし、木々や村々を焼いた。(つづく)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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