兎(と)はねというのは、ウサギでも渡れそうなほど狭く、川幅が四メートルしかないあたりを指す。かめ穴は岩の窪みに小石が入り、川の流れで回転しながら半球状に削った穴を指す。さらに上流は紫竜峡と呼ばれている。安山岩が紫がかっているところから、この名前がついた。
白岩半島というのは、川が大きく蛇行しているあたりである。流れは穏やかになり、河原が広がっていた。川治第二発電所の脇を過ぎ、浜子橋を渡ると、コンクリートで路面が固められ、歩くのも随分楽になった。その先には大きなトンネルが見えてきた。旧道のために作られたのだろう。それほど古い物ではなかろうが、コンクリートで固められたトンネル内部は、照明もなく薄暗い。竣工したのはちょうど五十年前、一九七三年だった。(つづく)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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