四次稿では、カムパネルラがいなくなると、ジョバンニはすぐに目を覚ます。黒く大きな帽子をかぶった学者や、ブロカニロ博士も登場しない。その方が物語の構成としてはすっきりしており、読者に想像するための余地が残されている。
ただ、四次稿で削除された部分は、多少理屈っぽくなるものの、『銀河鉄道の夜』を理解する上で重要な表現を含むので、角川文庫版では四次稿にその部分を挿入するという折衷案を採ったのだろう。ただ、折衷したために、ブロカニロ博士が現れて目を覚ましたという前提が崩れ、ブロカニロ博士と話したことまでが、夢の中の出来事になってしまっている。
なお、ますむらひろしは初期形や最終形に飽き足らず、赤旗日曜版に『銀河鉄道の夜 四次稿編』の連載を始め、第二巻まで刊行している。更なる挑戦によって『銀河鉄道の夜』の結末が、どのように表現されるか楽しみである。四次稿編と銘打っているので、削除された部分は表現されないものと思われる。ただ、その部分をあえて挿入した角川文庫版のように、四次稿では省略されていると断った上で、再度その部分も表現してもらいたい気もする。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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