ますむら氏の『銀河鉄道の夜』に初めて触れたのは、『赤旗』日曜版の連載においてだった。これが現在刊行されている『銀河鉄道の夜 四次稿編』である。登場人物が猫になっている点では、『銀河鉄道の夜 最終形』と同じだが、本文の行間に漂っているものまで、絵で描写しようとしている点、画面が大きいおかげで、猫の表情に人間のような迫真性が感じられるとともに、言葉で表現されている以上のものを、絵で表そうとしている点など、渾身の大作であることは間違いない。それと同時に、白黒の画面の一部は、ますむら夫人によって美しく彩色を施されている。
四次稿編があまりにも素晴らしいので、最終形と比較すると、どうしても見劣りしてしまう部分が出てくる。四次稿編を見なければ、それほど気にならないかもしれないが。まず、最終形の絵は小さいので、四次稿編のように詳細な描写がされていない。猫の表情にしても、登場人物を猫にしたという感じで、四次稿編に見られるような、猫の人物化と言えるほどの、細やかな表情が描かれていない。彩色も口絵以外はされていない。そのため、宮沢賢治の文章に添えられた挿絵という感じがする。四次稿編のような、絵だけでも自立しうる域にまで到達していないのである。
大きな変更点としては、銀河鉄道の車両が、最終形ではボックスシートなのに対し、四次稿編ではロングシートに変更されている点である。軽便鉄道のような小型の車両では、ロングシートしかあり得ないとの指摘を受けての変更だという。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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