2022年11月19日

星新一の「桃源郷」

 無人探査機スタービジョンが、パル星探査に出かけた。人類がそのまま住める環境で、選ばれた者のリゾート地になると期待されていた。
 ところが、パル星に到着すると、薄暗い空に焼け焦げたような風景、岩蔭からは骸骨が現れた。強力な放射能が検知されたことから、核爆発が起きたことが分かった。火山弾がスタービジョンに衝突して、中継は中断されてしまった。パル星は桃源郷どころか、反ユートピアだったとして、人類によるリゾート化計画は頓挫したのだった。
 実は、これはパル星に住む宇宙人が、スタービジョンに廃墟の模型を見させ、人類による侵略を未然に防いだということだった。パル星は野山に花咲く、文字通りの桃源郷だったのだ。
 物語はここまでである。他の星からの訪問者が、善意を持つとは限らないのに、人類は地球の情報を無人探査機に搭載し、太陽系の果てまで飛ばしてしまった。これによって、人類は自らの手で侵略者を招いてしまいかねないという。
 まあ、これはこの星が球形で、宇宙にロケットを飛ばしているという前提での話だが。月や火星の映像がフェイクであることが明らかになり、宇宙そのものの存在も、理論上の仮説でしかないのが真相らしい。


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posted by 高野敦志 at 04:10| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする