2022年11月10日

星新一の「愛用の時計」

 お気に入りの腕時計に、主人公は愛情を感じている。男というものは、自家用車やオートバイ、コンピューターなどを、偏愛したりする。まるで自分の恋人のように。
 ところが、愛情をかけているのに、時計は遅れてしまい、乗る予定だったバスに乗れずに、旅行に行かれなくなってしまう。男は購入した店に時計を持っていく。ところが、この時は正常に動いている。
 実は、旅行で乗るはずだったバスが、転落事故を引き起こしていたのだ。そのバスに乗らずに済むように、時計が意図的に針の進行を遅らせたというのか。時計の方でも男を愛していたので、助けたかったというのが、表面的な解釈である。
 実際は男の無意識が事故を予見していて、バスに乗らずに済むように、時計の進行を遅らせたというのだろう。これは心理学者のユングが提唱した共時性という仮説である。偶然の一致には人間の無意識が関わっており、本人が亡くなった瞬間に、愛用した時計も止まってしまうような現象が、実際に存在するのだ。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

Telegram
https://t.me/takanoatsushi

GETTR
https://gettr.com/user/takanoatsushi

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村



人気ブログランキングへ







ランキングはこちらをクリック!


Twitter、facebookでの拡散、よろしくお願い致します!
posted by 高野敦志 at 04:13| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする