2022年11月30日

星新一の「謎のロボット」

 博士の研究室には謎のロボットがいる。お茶も入れなければ手伝いもしない。役に立たないロボットをなぜ作ったのか、少年は不思議に思っている。そこで、さまざまないたずらをしたり、犬をけしかけたりしたのだが、ロボットは一向に何もしない。
 一人になった博士は、ようやくロボットに仕事を命じる。日記を書くのが謎のロボットの正体だったのだ。ロボットに日記を書かせているなど、人には恥ずかしくて言えないというのだ。
 日記を書くことの重要性に気づいているだけでも、博士は人間的である。現代の人間は、メールしたり、写真を撮ったりはするが、その日に何をしたかという記録を取っていない。時間が経てば、ほとんどの出来事は闇の中に消えてしまう。自身の記憶を持たなければ、生きてきたという時間の感覚も得られない。刹那的に生きて、現在しか持たなければ、ロボットと大して変わらないではないか。


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2022年11月29日

昭和記念公園の紅葉

 昭和記念公園は、立川市と昭島市にまたがる広大な公園である。米軍立川基地の跡地を、昭和天皇在位50周年を記念して公園として整備し、一般に開放したものである。
 まだ僕が20代の頃、友人たちと訪れた時は、だだっ広い芝生の緑地が広がっていること、サイクリングロードを自転車で乗り回したことぐらいしか印象に残らなかったのだが。
 先日、昭和記念公園に紅葉を見に行こうと誘われたとき、「あれっ」と思ってしまったのはそのためである。インターネットには、昭和記念公園のイチョウ並木と、日本庭園のライトアップが宣伝されているが、一昨日の日曜日に訪れた時には、すでにイチョウの多くは落葉していた。日本庭園のライトアップは、神秘的かもしれないが、公園の入場料450円のほかに、ライトアップした庭園の入場料1200円(WEBなら1000円)が必要となる。
 雲一つない青空に恵まれて、青梅線西立川駅公園口を出ると、正面に昭和記念公園が広がっていた。暖かい昼下がり、売店で焼きそばとつくね団子を買って、水鳥の池に浮かぶボートを眺めながら、空腹を満たすことにした。青空の下で食べると、おいしさが増すというのは本当だ。
 その後、友人と公園の中を巡ることにした。イチョウの多くは落葉していたが、目指す日本庭園は、日中は追加料金を取られることがない。大したことないだろうと、高をくくっていたのだが、本格的な日本庭園で、配置された岩や池の大きさにも驚かされた。
 池をまたぐ橋も、嵐山の渡月橋をイメージさせる。モミジが赤く色づいて、青く澄んだ青空にくっきりと映える。池の水面は鏡のように、対岸の緑やモミジの赤を浮かびあがらせる。これはと思う光景を写真に収めながら、時が経つのも忘れて、日が傾くまで池の畔にとどまった。

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2022年11月28日

星新一の「文明の使者」

 博士は文明開発のロボットを開発した。助手のロボットを引き連れて、未開の星を目指した。着陸したのは猫の星だった。猫を文明化するのはハードルが高かった。そこで、まず猫を人間化することから手をつけた。
 耳だけは猫のままで、服を着た猫人間ができて、社会を近代化したので、高層建築が建ち並ぶ現代の水準まで引き上げた。
 これで当初の目的は果たしたとして、博士は猫人間の星を去ることになった。住民の代表が、お礼として銅像を造ったので見てほしいと言った。
 博士はぎょっとした。そこに建っていたのは自分の物ではなく、助手のロボットの銅像だったからである。所詮、猫を文明化しても、私の偉大さは理解できないんだと、博士はぼやく。実際に活動したのは、ロボットの方なのに。これは「博士とロボット」という作品と同工異曲である。


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