2022年10月18日

星新一の「欲望の城」

 語り手はバス停で、小さな会社に勤めるサラリーマンと知り合う。会社でも家でもストレスが多いというのに、なぜか幸せそうな顔をしている。彼によれば、いつも同じ夢を見ているからだということだ。
 誰も入ってこられない自分だけの部屋で、好きな家具を置いて、ゆったりとした椅子に腰掛ける。ベッドに、テレビ、フィットネスバイク、彫刻。ほしいと思った物を、夢の部屋に配置していく。彼は現実よりも、夢の世界に生きるようになる。
 しばらくして、彼の様子に異変が生じる。夢の部屋のドアや窓が開かないというのだ。症状が悪化した彼は、恐ろしくて夜眠れないと話す。眠りに抵抗していて、バス停でウトウトした途端、悪夢に苛まれて悲鳴を上げる。夢の部屋は精神病棟と化してしまったのだ。
 コンピューターゲームにはまって、現実の生活を忘れた若者の、頽廃した生活を揶揄しているようにも見える。スマホ中毒の現代人には、さらに危険な世界が待っている。ムーンショット計画というもので、メタバースという仮想空間でアバターが活動し、実際の仕事はロボットが行うため、大幅な人口削減が画策されているのである。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:27| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする