これを飲むことで、本来の寿命が尽きた後でも、生還できるかもしれないのだ。ただ、その場合でも、数百年が経過しかねず、身の回りには知っている者はいないだろう。
若者は遺書を書いたが、自身の名前は記さない。孤児なので親はいないのだが、今まで宇宙で多くの若者が死んだので、この遺書がそうした若者の親たちの心を慰められればいいと思ったのだ。その話に感動した中年の男は、手元にあった壱万円札の束を、その遺書に添える。小型のロケットで、遺書とお金は地球に向かって発射される。
なすべきことを済ますと、若者と中年の男は、息子と父のように語らう。そして、二度と目覚めないかもしれないが、生還するわずかの可能性に懸けて冬眠剤を飲み、恐らく二度と目覚めない眠りにつく。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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