星新一の「調査」

　正体不明の物体が現れる。どうやら地球の物ではないらしい。中から電波が出てきている。うまそうな匂いまでしてくる。犬が食べ出したので、人間も食べてみる。未知の物を調査しようというのは、人間の本能だと考えられる。
　調査するためには。物体の中を見なければならない。中を引っ掻いても、よく分からないので、熱を加えたり、冷やしたりする。「押して駄目なら引いてみろ」の調子で、最後は放射線まで当ててみる。
　実は、その物体は宇宙人が地球の生命体を調査するもので、その文明が脅威を与えるものかどうか知るために、地上に降りてきたのだった。放射線を当てたことで、人類は宇宙人にとって脅威だという結論が出て、中から毒ガスが噴出し、滅亡に追いやることになる。
　天文学者の一部は、宇宙人とのコンタクトを試みて、わざわざ地球のデータを太陽系の外にまで飛ばしているが、もし宇宙人が悪意のある存在で、乗っ取る星を探していたとしたら、とんでもない災いを地球にもたらすに違いない。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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