2022年10月08日

星新一の「殺し屋ですのよ」

 中年の男が散歩していると、殺し屋だと称する若い女と出会う。殺したい相手を、不審を抱かれずに殺すことができると請け合う。呪い殺すというのである。男が殺してもらいたいと思っている相手まで、女はなぜか知っていた。
 成功報酬で手付金も要らないというので、男はライバル会社の社長の殺害を依頼する。しばらくして、本当に心臓発作で死亡したので、約束通り報酬を支払ってしまう。
 実は、女は看護師だった。持病持ちで死期が迫った人物を探し出し、その存在を邪魔だと感じている相手に、殺し屋だと称して殺害の注文を持ちかけ、実際は持病で死んだにもかからず、呪い殺したとして報酬を受け取っているというわけだ。
 呪い殺すと言っても、何もせずに報酬を受け取る看護師は、職業上で知った情報を悪用して、金を騙し取る詐欺師に過ぎない。呪いなんてその程度のものだよ、と作者はあざ笑っているように見える。本当の呪いとは、そんなものではないと思うのだが。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:43| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする