2022年10月05日

星新一の「ゆきとどいた生活」

 宇宙旅行専門の保険会社に勤める青年は、八十階建てのマンションの七十二階に住んでいる。すべてが自動化されており、起床から着替え、朝食、歯磨き、出勤まで、巨大な手のロボットが行ってくれる。
 ただ、いくらアニメだとはいえ、青年が全く身動きしていないのに違和感を持った。朝食が差し出されても、手を出す気配もなく、時間がたつと、本人が何もしなくても、カプセルに入れられ、チューブの中を移動して、職場に送り届けられてしまう。
 会社に着いた青年は身動きしない。同僚が触ると、体はすでに冷たくなっている。医師の診断では死因は心臓発作で、死後十時間たっているとのこと。いくら機械化されて、ゆきとどいた生活を送っていても、ロボットは決まったことしかしないから、相手が死んでいても、生きてるときと同じ扱いで、出勤させられてしまうことを皮肉っているのだろう。
 ただ、ここに登場するロボットは二十世紀の技術に基づいているようだ。現在なら人間の心拍数や体温も計測しているだろうから、肉体に異変が生じた時点で、病院に連絡が行って、医師が駆けつけているはずである。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:10| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする