2022年10月03日

星新一の「午後の恐竜」

 これはアニメ作品である。アニメでなければ、たとえCGを利用しても莫大な制作費がかかってしまう。主人公は妻と息子を持つ男性である。日曜日の午後、窓の外を見て仰天する。
 恐竜が街の中を歩いているのだ。しかも、街とジャングルが二重写しになっている。子供の前に現れた肉食恐竜に、「危ない!」と主人公は叫ぶのだが、恐竜には実体がない。蜃気楼のようなものらしい。
 ニュースによると、これは世界的な現象で、時系列をたどるように、現れる恐竜も変わってくる。主人公は妻と息子を伴って、街の中を散策している。日が傾く頃には、空には始祖鳥が飛んでいる。やがて新生代に入り、哺乳類が出現する。次いで、原始人、ついに、主人公の若い頃まで。
 人間は死ぬ瞬間に、それまでの人生を走馬灯のようにたどる。それと同じように、地球にも最期が近づいており、地球の歴史を回想するように、それまでの歴史が幻像の形で現れているのだ。
 何で地球が滅ぶのかというと、核戦争が近づいていることが示唆されている。すべてを悟った主人公は、妻と息子を抱き寄せる。最後の時が到来するのに身構えるように。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

Telegram
https://t.me/takanoatsushi

GETTR
https://gettr.com/user/takanoatsushi

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村



人気ブログランキングへ







ランキングはこちらをクリック!


Twitter、facebookでの拡散、よろしくお願い致します!
posted by 高野敦志 at 01:00| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする