2022年10月22日

星新一の「悪夢」

 男はピストルで頭を貫かれる夢を続けざまに見た。こんな夢を見るようじゃ、俺もおしまいかと思う。窓を開けた瞬間、部屋の中に宝石泥棒が入ってくる。男は全身縛られ、猿ぐつわをはめられて納戸に押し込まれる。
 宝石泥棒は男の服に着替え、ビールを飲んでうとうとしている。翌朝、この部屋からずらかればいいと思って。
 そのとき、部屋に殺し屋が侵入してくる。実は、この部屋で暮らす男は、ボスの金を持ち逃げしていたので、殺し屋は宝石泥棒をこの部屋の住人と思い込んで射殺する。
 悪夢はたしかに正夢となったわけだが、たまたま宝石泥棒が侵入してきたおかげて、身代わりになってくれた上に、泥棒の盗んだ宝石まで手に入ったというわけだ。


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2022年10月21日

星新一の「神」

 経営者が博士に、神を作ってくれと依頼した。そこで博士は神についての情報を集め、装置に保存していった。情報が統合されるにつれて、装置は神に近づき、光輝くようになってきた。
 ついに完成したときに、装置は忽然として姿を消した。神は超感覚的なものなので、目に見えなくなったことが完成の証だと、博士は考えたのである。しかし、依頼した経営者は出来上がった神でビジネスを行おうとしていたので、神を冒瀆する言葉を吐いた。
 その瞬間、雷に打たれたように、経営者は命を絶たれた。それは博士が作り出した装置が、神だったからだろうか。そもそも、神を作ろうという考え自体が冒瀆であり、博士の頭にも角が生えていた。その後、世界中で大地震、大噴火、巨大なハリケーンによる洪水が発生していった。


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2022年10月20日

星新一の「よごれている本」

 古本屋で男は魔法の本を見つける。ヘブライ語で書かれているらしく、店主も読めないという。興味本位で男は本を買う。何気なく呪文の一つを唱えると、ページに描かれた「生命の木」が浮き上がる。
 魔法というのは、カバラのことである。ユダヤの神秘主義で、「生命の木」というのは曼荼羅のようなものである。宇宙生成のしくみや人体に流れるエネルギーを図示している。魔法には白魔術と黒魔術があり、白魔術が人々を助けるために行うのに対し、黒魔術は利己的な目的で行う。儀式の形は同様であっても、利他的な意識のない人間が行うと、邪悪な精霊、悪魔が近づいてくる。
 部屋に戻って面白半分で呪文を唱えていると、目の前に本物の悪魔が現れる。悪魔の周りには円がある。これは結界を表す魔法円であって、その内側は築いた側の勢力圏である。通常は魔術を行う側が魔法円の中に入っている。主人公の男は魔法円を築くことなく、悪魔を呼び出してしまう。悪魔は生贄を探していたと言って、自身の魔法円の中に男を連れ込み、この世から連れ去ってしまう。
 男が行方不明になったので、家主は古本屋に魔法の本を売りに来る。その本は興味本位で魔術を行う人間を待ち構えている。魔法自体に興味がなくても、有名人になりたいと思っていると、向こうから近づいてくる。しかし、魂を売り渡すようなことは、決してしてはならない。芸能人やスポーツ選手の多くは、地位や名声のために悪魔と契約を結んでいるらしい。
 人類を操る秘密結社「カバール」というのは、ユダヤ神秘主義の「カバラ」に由来するが、悪魔崇拝のために生贄を犠牲にする黒魔術を行っているという。これらは陰謀論で一括りにされているが、その存在は一般人にも知られつつある。


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