2022年10月28日

星新一の「黄金の惑星」

 男女が乗った宇宙船が救難を求める無線を傍受する。「黄金の惑星を発見せり」という声で途絶えたが、通報せずに惑星へ行き、転がってる黄金を我が物にしようとする。
 惑星に接近して地表を観察すると、原始人が集落を作っている。転がっている岩はどれも黄金のようだった。宇宙船が着陸すると、原始人が寄ってきたので、近づくなと銃を乱射し、船内に詰める限りの黄金を詰め込む。
 いざ発射すると、黄金が重すぎてうまく飛べず、「黄金の惑星を発見せり」という無線を発信して墜落してしまう。九死に一生を得て、みすぼらしい姿で歩いていると、原始人が近づいてくる。
「実は、私たちも元地球人だったのです」と告げる。原始人に見えた人たちも、黄金を求めてやって来て、欲に目がくらんで宇宙船が墜落し、原始人のような生活を送ってきたというわけである。
 この星には、今後も地球人がやって来て、同じ愚行を繰り返すことが暗示されている。いくら黄金がたくさんあっても、ありふれた物質であるなら、希少価値などはない。黄金が珍しい地球だからこそ、富を築くことができるのであって、黄金の星では黄金など一文の価値もなく、貧しい生活を送らざるを得ないのである。


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2022年10月27日

星新一の「リオン」

 動物学者のK博士は、リスとライオンを掛け合わせた動物を作り出した。リスのように可愛く大人しく、ライオンのように強く勇敢な動物だった。
 それに感心した植物学者のS博士は、ブドウとメロンを掛け合わせた植物を作ることにした。メロンがブドウのようにたくさんなることを期待して。ところが、ブドウがメロンのように一つしかならなかった。
 これは昔話によくあるパターンで、成功した人の物真似をしてもうまくいかないというものだ。笑い話の一つなのだろうが、現実の社会には、マッドサイエンティストがいて、人工的に危険なウイルスを生み出したり、人間と動物の遺伝子を組み合わせて、キメラ(合成獣)を作り出しているという。笑い話では済まされないのである。


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2022年10月26日

星新一の「猫と鼠」

 若い男が中年の男に弱みを握られている。若い男が女性を殺したところを、中年の男に見られたからだった。中年の男は口止め料として、何度も稼いだ金を搾り取っている。
 若い男は我慢ができなくなる。中年の男の殺害を試みるが、中年の男は自分が殺されれば、若い男の以前の犯行が明かされた上に、自分を殺害したことで死刑は確実だと答える。
 それに対して、若い男は中年の男のそっくりさんを見つけていた。中年の男を殺害しても、事件扱いされないだろうと考え、ナイフで刺し殺してしまう。
 身代わりの男は何も知らなかったのだろうか。そこに、あなたの殺人を目撃したから、口止め料を出せという電話がかかってくる。電話をかけてきた男は、二人を殺した若い男なのだろう。身代わりとなった男は、わけも分からずに、若い男に金を返していくという筋書きなのだろう。
 窮鼠猫を噛むということわざを、ドラマ化したものである。ただ、身代わりの男が、なぜそんな役を引き受けたのかがよく分からない。実際に殺人を犯していたから、そんな役をやらされたのだろうか。ドラマを見た限りでは、その辺が合点がいかない。


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