ある夜、部屋に死神が訪れる。男は死を免れるために、死神を買収することを思いつく。やむなく、命とおなじくらい大切な「つもり貯金」を死神に渡す。『今昔物語』にもあの世に連行しようとする鬼を買収して、他の人を身代わりにする男が登場する。結局、閻魔大王にばれて鬼に連行されていくのだが、身代わりにされた方は、この世に戻されたものの、自分の遺体は火葬にされていたので、やむなく最初の男の遺体に入って蘇生するといった手の込んだ話となっている。
星新一の話の方は、至ってシンプルである。死神は買収されて姿を消す。 男は以前と同じ暮らしに戻り「つもり貯金」を再開する。一年後、再び死神が現れ、「つもり貯金」を奪って姿を消す。さらに一年後、またもや死神が現れる。死神の話によると、奪った金の一部は地球温暖化のために寄付しているらしい。人間がいなくなってしまっては、死神は失業してしまうからということだ。
こうして、死神を買収することで、一年間の猶予をもらい続けるのだろう。何だかいいカモにされているようだが、考え方によっては、お金で寿命が長くなっているわけだし、身代わりに他の人が死ぬわけでもないので、これは独身男が思っているほどは悪くないのかもしれない。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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