加田伶太カの「素人探偵誕生記」では、大学の教員がいかに手を抜いて授業をやり、その合間に趣味に凝るかという点に関心を持った。現在のように、学生から教員が評価される時代だと、ミステリー作家としてやっていけても、教員生活を続けていくのは難しいのではないか。
荒正人の「推理小説のエチケット」に関しては、賛否両論だろう。推理小説の本来の姿は、トリックと謎解きであるべきだとしている。犯罪の動機を重視したら、普通の文学になってしまう。恋愛の要素は不要で、変態性欲なども扱うべきではないとしている。知的ゲームとして純化したいという筆者の主張は、推理小説の幅を狭めて、袋小路に追い込むだけではないか。
平島侃一の「現場鑑識」は、殺害の方法による遺体の損傷、自殺と他殺の区別、死亡から腐敗に至るまでの遺体の変化など、刑事事件で捜査の手がかりになる情報を、図示しながらまとめている。DNA検査など最新の捜査方法は載っていないが、殺人と遺体に関する基本的な情報が集められている。
松本清張の「推理小説の発想」は、この本の中で最も読み応えがある論考である。推理小説にとって、犯罪の動機を描くことは、人物を描写することである。推理小説を純文学の域にまで高めた筆者の意図がよく分かる。創作ノートは清張が、日々の生活で気づいたことについて、小説になるかどうか、常に思案していたことが分かる。清張の作品を分析する際の、貴重な資料にもなるのではないか。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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