その社会での処刑法は、一種の島流しである。資源を採掘し尽くした赤い惑星に送られる。ロボットの姥捨て山を描いた「薄暗い星で」に似ており、死の恐怖にさらされるという点で共通している。
正当防衛が認められず、「処刑」が決まった青年は、赤い砂漠と廃墟しかない星に放置される。ボーリングのボールのような物を一つ持たされて。ボタンを押すと一杯の水が出てくる。何回目かにボールは爆発し、「処刑」が完了すると告げられている。
青年はその星で、白骨死体を発見する。同じボールを傍らに置いたまま死んでいる。それを見て、自身の最期が見えてくる。このボールはボタンを押すたびに、死の恐怖とひきかえに、一杯の水が与えられる。しかし、ついに爆発することなく、衰弱して死んでいくのだと。
それを確認するために、青年は廃墟の浴槽に、ボールの水をためていく。予想通り、ボールの大きさをはるかに超える水が、浴槽にたまっていく。死の恐怖にさらされながら、死の瞬間まで生き続ける点では、地球での生活と同じだということを悟る。
話をたどって改めて感じたのは、星新一のショートショートや、それを元にしたドラマは、ほとんどが寓話であるという点である。人物の性格を掘り下げる余地はないのである。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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