2022年05月31日

星新一の「見失った表情」

 その頃、整形手術では満足できず、表情操作機というナノマシンを埋め込むことが流行していた。ただ、表情操作機は違法だったので、発覚すると検挙されてしまう。
 とはいえ、違法とされた根拠は不明である。機械で操作した表情を見せるのは、人を騙すことになるからか。表情操作機には依存性があって、いったん使用すると自身で表情を作ることができなくなるからか。
 整形したが、表情をどう作るか分からず、独身のまま過ごすのが耐えられなくなったヒロインは、違法と知りながらも表情操作機を打ち込んでもらう。
 街中で偶然、大学時代の男友達と出会う。彼は彼女がこんなに表情豊かになったのに驚く。やがて、二人は互いに慕い合うようになるが、表情操作機がエラーを起こしてしまう。操作機を使っていたことを、彼に知られてしまうが、表情をうまく作れなくても、今の気持ちをそのまま顔に出すように促される。
 表情操作機に頼らなくても、自分なりの表情を見せることで、二人は関係を深めていく。だとすると、表情操作機には依存性はなく、禁止する法的な根拠もないことになる。星新一の物語には珍しく、ハッピーエンドとなる。


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2022年05月30日

三島スカイウォークの吊橋(6)

 三島スカイウォークの停留所に戻ってきた。富士山はすっかり雲に隠れている。お客が大勢乗ってきた。行きに見掛けたスリランカ人の若者もいた。
 うとうとしているうちに、三島駅に到着した。とりあえず、遅い昼食をとることにした。駅前の大衆食堂に入る。僕は肉豆腐の定食。友人は卵かけ豆腐の定食。白身魚のフライとポテトサラダ、味噌汁がついていた。おいしかったし、お腹がいっぱいになった。
 最後は温泉に入ることにした。巡回バスで三島広小路駅に近い極楽湯に向かった。中はきれいで広かったが、泉質がいま一つだった。天然温泉と書いてあったのだが。
 今回の旅も終わろうとしていた。奥湯河原の温泉は、野趣のある露天風呂がよかった。三島スカイウォークに関しては、ロングジップスライドをやらなかったので、ちょっと不完全燃焼という気がしないでもない。
 若い頃のような、パラグライダーをやる勇気、空を飛べるなら死んでもいい、といった気力は出そうにないので、ロープにぶら下がって滑空してもよかったかな?


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2022年05月29日

認知症の母のために

 九十代の母は車椅子の生活で、身の回りのことも自分ではできない。最近はきちんとした文で話すことさえ難しい。飼っている猫を見て「可愛いわね」と言い、着替えさせようとすると、「バカ」と叫んでこちらを叩こうとする。自分が分からない話は大嫌いらしい。テレビドラマは筋を追っていけないので、「岩合光昭の世界ネコ歩き」の録画を見せたり、童謡を聴かせたりしている。
 それでも、記憶は断片的に残っているようなので、母が昔、話してくれたこと、子供時代から、女学生で工場動員されたこと、空襲で家が焼けて引っ越しを繰り返したこと、結婚して子育てを始めた頃まで、文章にまとめてみた。
 それを「一太郎」の読み上げソフト「詠太」を用いて、女性の声で読み上げさせて、毎日母に聞かせている。すっかり忘れて分からない所もあるようだが、うなずきながら聞いて「おもしろい」と答えたり、時には涙を浮かべている。忘れていた記憶が、部分的によみがえっているのだろう。
 認知症は次々と記憶が失われ、わけが分からぬ苦しみに悩まされるらしい。過去の出来事を聞かされることで、かつての自分を断片的にでも思い出すことが、今では母の楽しみになっている。それは僕の家族や親戚、近所の人たちとの触れ合いの記憶であり、毎日少しずつ書き足すことが、今では僕自身の楽しみにもなっている。


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