小説作法の本には、木村毅の『小説研究十六講』のような理論的な本や、三田誠広の『ワセダ大学小説教室』のシリーズのように、学生向けに噛み砕いて説明している本もある。創作をする方法を理解するには、まず基本的なことから理解する必要がある。
問題は一通り、小説らしきものが書けるようになっても、一線を越えられない場合だ。自分では最高のものが書けて、多少はほめてもらえたとしても、それだけでは最終選考まで行かない。一通り書けるようになったと思っても、技術的に足りない点がいくつもあるはずだ。それが自分自身ではなかなか分からない。
中条省平の『小説家になる!』は、壁にぶち当たっている小説家志望者には、目を覚ましてくれる点が多い。逆に、そもそも小説の書き方を知らなければ、何の役にも立たないかもしれない。実は、かなり以前に一読していて、基本的なことは理解しているつもりだったが、改めて読み直すと、気づかされる問題が多かった。人物の性格や関係を説明するのではなく、さりげない描写や会話で表現することなどは、理解しているつもりでも、実行できていたかは怪しい。
中条氏は小説家ではない。小説を書いたこともないし、書くつもりもないと明言している。それがかえって、小説を書く際のコツを、ためらうことなく開示することにつながっている。自分が書いたものを、作家や編集者に読んでもらえない場合は、とりあえず、書き終えた作品を印刷し、どんな点が至らないか、本書を元に赤ペンを入れていくといい。
なお、本書はメタローグで刊行され、のちに『小説の解剖学』と改題された。本書の続きは 『小説家になる!2』であるが、のちに『小説家になる!』と改題された。ともに、ちくま文庫から刊行されている。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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ラベル:小説家,作家,創作,中条省平