2018年08月04日

神々が降臨した地(9)

 寝坊してしまった。まだ昨日の疲れが抜けていない。朝食を取って、九時過ぎにチェックアウトした。天岩戸駅まで歩いて行くことにした。ペアレントのおばさんに道を教えてもらい、「着いたら大声で教えてよ」と言われた。
 あぜ道を上っていくと、無人の駅にたどり着いた。ホームの一番端、ちょうど高千穂橋梁の付け根の辺りから、谷間のユースホステルを見下ろした。人の影のようなものが見えるので、手を振ってみた。
「着いたの?」という叫び声が聞こえた。
「着いたよ!」と答えると、「行ってらっしゃい」の声。
「有り難うございます。行ってきます!」と大声で叫んで手を振った。
 まさか本当に声が聞こえるとは思わなかった。こうして声をかけてもらい、ちょっぴり胸が熱くなった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 02:36| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

平成世相歌留多(pdf)

 カルタとはポルトガル語のcartaに由来し、本来はトランプを含めた広義のカードを言います。キリスト教が伝来した頃、西欧人が遊ぶゲームを見て、国産のトランプ「天正かるた」が作られました。その後、百人一首や花札など、日本独自の物が考案されました。
 子供の頃に遊ぶ「いろはかるた」は、「犬棒かるた」の名で親しまれていますが、遊びとともにことわざを覚えさせる意図があります。平成の世もいよいよ終わりが近づいてきたことから、今の世相を風刺したカルタを作ってみました。
 今回はパソコンですぐに開けるpdfをアップロードします。Adobe Acrobat Readerの「フルスクリーンモード」だと、バーチャルな書籍がモニターに再現されます。以下のリンクからダウンロードしてください。
carta.pdf

 iTunesからダウンロードする場合は、ミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。

 なお、パソコンのiTunesで「購読」したり、iOSのアプリpodcast(https://itunes.apple.com/jp/app/podcast/id525463029?mt=8)でマイpodcastに登録すれば、確実に新しいエピソードが入手できます。 以下のリンクからダウンロードしてください。

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 02:27| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月03日

ぼくがダライラマ?(50)

 何でそんな言葉が出てきたのか不思議だった。しかし、話を聞いてくれる民衆は目を見開き、ぼくの言葉に聞き入ってくれているのだ。うなずいたり、顔を見合わせているところを見ると、勇気が湧いてくるのを感じた。
「ですから、悟りというものは、この身のままで得られるものなんです。妻を愛することも仏の慈悲、音曲に身を任せて、我を忘れることも悟りに近づく第一歩です」
 ここまで言い終えると、老人たちはぼくに向かって合掌した。人々の口から観音菩薩の真言「オン・マニ・ペメ・フン」が唱えられ、手に持ったマニ車が、軽快に回されるのを見た。ぼくは自分に酔っていたのだろうか。振り返ると、後ろに控えていた僧侶たちの顔に、困惑した表情が広がっていた。互いに小声で何かささやいている。耳を澄ますと「それは異端だ」という声に聞こえた。
 ぼくが口にしていたのは、チベットを席巻する新派、ゲルク派の教えではなかった。初めて仏教が伝わった頃の教え、古派、ニンマ派の教えだったからだ。妻帯しながら俗人のまま、悟りをめざす仏教は、土俗の神々への信仰を巻き込み、地方の民衆、ぼくのお父さんのような行者を介して、命脈を保ってきたのだった。幼い頃にヤクの背に乗ったぼくが、羊の放牧を営む父の後ろ姿から、自ずと学び取った教えが、声となって現れたものだった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 01:27| Comment(0) | 連載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする