2017年06月20日

西表島は日本のアマゾン(15)

 朝食後、同室の彼はバスで出発した。牛車が浅瀬を渡る由布島や、南部の仲間川の方に行くらしい。僕は自転車を借りて、この島に来た日に訪れた船浦大橋の所まで走ってきた。西表島の大きさを実感したのもここだった。
 まだ潮が満ちているので、あのとき予想した通り、干潟は入江と化して、蛇行した川は水面(みなも)に没している。海中道路から島の方を向くと、ボートが二艘見えるし、弧を描く岸沿いを、ハイキングの若者が七人ほど歩いている。潮の満ち干って、まるで地球が呼吸してるようだと思った。人間とは比べものにならないほど、大きくゆったりとした息だが。もっとここにいたい……。ようやく島の空気にも慣れてきたというのに。もう時間がない。まだこの島の一部しか見ていないのに、早くも別れの時が迫っているのだ。
 みどり荘に戻って、出発の準備をした。車で送ってもらうのはやめ、上原港まではゆっくり歩いていくことにした。荷物が重いので、少し行くと休んでは風景を眺めた。道ばたにはヒルガオが咲いている。雲が広がってきたので、意外と涼しかった。港に着いて岸壁から海面をのぞき込むと、無数の魚が群れをなして泳いでいた。
 石垣港行きの船に乗り込んだ。いよいよ別れの時が来た。僕はまた一人になってしまった。船は猛スピードで西表島から遠ざかっていく。まだほとんどこの島について知らないのに。いつの日か、また訪れることができるだろうか。

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posted by 高野敦志 at 01:14| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

懐かしのチベット(ePub)

 チベットの自然と文化に触れた心の旅を、紀行文の形でまとめました。古代チベット王の霊廟や宮殿、ヤルツァンポ川の流れ、チベット仏教の寺院、神秘の湖、ポタラ宮とダライラマの離宮などを巡りました。付録として西安の大雁塔、楊貴妃で有名な華清池、始皇帝陵についても触れました。
 以下のリンクからダウンロードして下さい。
Tibet.epub

 iTunesからダウンロードする場合は、ミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。
 IEでダウンロードした場合は、拡張子をzipからepubに変えて、下記のアプリでご覧下さい。

 ePubはiOSのiPadやiPhoneなどで読むのに適した形式です。iBooksやbREADER(http://breader.infocity.co.jp/)でご覧下さい。Windowsでは紀伊國屋書店のKinoppy(http://k-kinoppy.jp/for-windowsdt.html)が、最も美しくePubのファイルを表示します。Windows8用のアプリのEPUB Reader(http://www.skyfish.co.jp/epubreader.html)でも開けますが、一部のレイアウトが反映されません。

 ブラウザからePubを開く場合、Googleのchrome(https://www.google.co.jp/chrome/browser/desktop/index.html)なら、プラグインのReadium(http://readium.org/)をインストールして下さい。
 firefox(https://www.mozilla.org/ja/firefox/new/)にもプラグインのEPUBReader(https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/epubreader/)があり、縦書きやルビなどにもようやく対応しました。

 なお、パソコンのiTunesで「購読」したり、iOSのアプリpodcast(https://itunes.apple.com/jp/app/podcast/id525463029?mt=8)でマイpodcastに登録すれば、確実に新しいエピソードが入手できます。


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posted by 高野敦志 at 01:07| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月19日

西表島は日本のアマゾン(14)

 部屋に戻ると、エアコンをつけた。夕食前に買っておいた泡盛を酌み交わした。アルコール度30度はかなりきつい。烏龍茶で割ると香りが分からなくなるので、一緒に飲んでちょうどよかった。
 それから、仕事や趣味、旅について語り合った。彼は北海道に行ったことがないので、知床半島を小雨降る中、自転車で走ったことや、嵐の夜のユースホステルでの交歓、礼文島の「汗と涙の八時間コース」の冒険などについて話した。北海道は涼しくて、空気が澄んでいて、視界がくっきりと見える。沖縄は光が強すぎて、目の前が白くなってしまうことなど。
 彼は会社の寮に住んでおり、鍵をかけていないので、戻ると同僚が入り込んでいることがあるそうだ。
「プライバシーなんてないですよ。鍵をかけておくとかえって怪しまれる」
 酔って眠くなっていたので、突然「あの辺は浅いぞ」と叫んでしまった。目の前に珊瑚礁の幻影が見えたためだった。まだ水中を泳いでいる感覚が、体の中に残っていたからだった。(つづく)

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