2018年11月05日

大山は「おおやま」にあらず(9)

 参道を下ったところで、現在の大山寺本堂に向かう石段があった。足ががくがくであったし、時間的な余裕がないので、石段の下で合掌した。先述したように、ここはかつて大日堂だったところである。
 伯耆の大山寺(だいせんじ)の場合も、相模の大山寺(おおやまでら)のように、かつての本堂を神社側に奪われ、やむなく、山下の塔頭(たっちゅう)を本堂にせざる得なかったわけである。
 五時頃のバスまで、二十分しか残っていなかった。停留所前のロッカーから、荷物を取り出し、下山届を出すと、ホテルに電話して到着が七時頃になると伝えた。もうバスが来ており、あわてて乗り込んだ。
「いつもぎりぎりなんだから」と僕はこぼした。(つづく)


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2018年11月03日

懐かしのチベット(pdf)

 チベットの自然と文化に触れた心の旅を、紀行文の形でまとめました。古代チベット王の霊廟や宮殿、ヤルツァンポ川の流れ、チベット仏教の寺院、神秘の湖、ポタラ宮とダライラマの離宮などを巡りました。付録として西安の大雁塔、楊貴妃で有名な華清池、始皇帝陵についても触れました。
 今回はパソコンでもすぐに開けるpdf版を公開します。Adobe Acrobat Readerの「フルスクリーンモード」だと、バーチャルな書籍がモニターに再現されます。以下のリンクからダウンロードして下さい。
Tibet.pdf

 iTunesからダウンロードする場合は、ミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。
 なお、パソコンのiTunesで「購読」したり、iOSのアプリpodcast(https://itunes.apple.com/jp/app/podcast/id525463029?mt=8)でマイpodcastに登録すれば、確実に新しいエピソードが入手できます。

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posted by 高野敦志 at 23:53| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ぼくがダライラマ?(59)

 足音が近づいている。ぼくは大きく息を吸った。侍従が着替えを運んできたのだった。病に伏せていた摂政が、猊下に挨拶にやって来るというのだ。
 戦慄した。血の気が引いていくのを感じた。表情が変わったのを悟られぬように、ぼくは窓の方を見やった。キチュ河の川面は、先ほどと変わらない。霞がゆっくり動いている。目を閉じてふたたび、侍従の顔を見ると、分かったと答えた。
 朝の勤行を始める。声に力がないのを感じる。瞑想をしても、心の乱れは治まらない。朝食のツァンパは、バター茶でこねても、喉をうまく通らない。そこで、バター茶だけを飲むことにした。体の芯から暖まり、どんなことになっても対処できる気がした。
 摂政が現れた。いつもながら、この男は老獪だと思った。確かに血色は良くないが、顔面を強張らせたまま、出仕を怠っていたことをわびて、感情を面に出さないようにしている。
「猊下のお耳にも入っているかもしれませぬが、娘が結婚いたすことになりました。そのことでいささか心を悩ましていた次第であります。では……」(つづく)


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