2018年02月15日

時を止める湖面(3)

 いよいよ摩周火山を登っていく。急カーブの整備された道路は、通る車もまばらである。火山の上から三分の一が吹き飛んで、そこに水がたまって摩周湖が生まれたという。山腹からいきなり湖水が見えると記憶していたから、登りきる直前からビデオ撮影を始めたのだが、結局車からは湖水は見えなかった。
 駐車場に車を止めた。硫黄山や屈斜路湖が遠方に見渡せる。ここからの眺めも素晴らしいのだが、木の階段を登っていくと、摩周湖が姿を現した。湖面ははるか下方にある。崖の上から見下ろすといった感じである。これで三度目なのだが、今回も雲一つ、霞もかかっていない。水深が深く、流れ込む川も流れ出す川もないため、水面はほとんど波立たず、空の青をより深くした摩周ブルーである。絶壁に近い火口に、しがみつくように高原植物や、白樺などが生えている。対岸に見える急峻な山が摩周岳、アイヌ語ではカムイヌプリ、神の山という意味である。大きく口を開けた火口は、ここからはわずかしか見えないが、茶色い無気味な喉のようである。
 これほど深い青をたたえる湖は、日本にはほかにない。内側を覆う草木と、無機質なカムイヌプリのコントラスト、中央に浮かぶ小島、カムイッシュは緑で覆われているが、湖底からそびえる火山の頂である。この組み合わせが、摩周湖のブルーをさらに際立たせているのだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 01:45| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連体修飾節の種類

 日本語における連体修飾節では、名詞の前に修飾する語句が来る。実際の例を挙げて説明しよう。

例 母が作った料理はおいしい。

 修飾される名詞(料理)は、文法用語では「底の名詞」と呼ばれる。

 それに対して、英語では名詞の後に修飾する語句が来る。

例 Dishes(which)my mother made are delicious.

 英語など欧米の諸言語の多くは、修飾する語句を、どんどん後ろにつなげられるから、修飾する部分が長すぎた場合、それを日本語に訳すのには工夫が要る。長大な語句が前置されて「底の名詞」を修飾する場合、修飾・被修飾の関係が複雑になり、文の構成が一読しただけでは分かりにくくなるからである。
 ここで言う「底の名詞」とは英文法における「先行詞」に相当する。また、英語のwhichのような「関係代名詞」に相当する語は、日本語では必要とされない。

 普通はその程度しか、連体修飾節については知らないかもしれない。しかし、日本語の連体修飾節は「内の関係」と「外の関係」に大別され、用法にも細かなルールがあるので、日本語教師として日本語を外国人に教える場合や、上級の日本語学習者も大枠を知っておく必要がある。
 また、日本語を英語に訳す場合も、日本語の連体修飾節について知っておくことは、思わぬ誤訳を避ける上で役に立つだろう。

 以下に用法をまとめたので、ダウンロードして参考にして下さい。
rentaishushokusetsu.pdf

 iTunesからダウンロードする場合は、マイミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。大部分のパソコンにインストールされているAdobe Readerで読むことができます。

 なお、パソコンのiTunesで「購読」したり、iOSのアプリpodcast(https://itunes.apple.com/jp/app/podcast/id525463029?mt=8)でマイpodcastに登録すれば、確実に新しいエピソードが入手できます。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 00:56| Comment(0) | 日本語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月14日

時を止める湖面(2)

 川湯温泉からバスで摩周湖に行く場合、硫黄山を経由するようになっているが、現在では本数が極端に減っている。それは摩周湖へ行くバスも同じで、摩周第三展望台で降りて、次のバスで第一展望台に移動なんていうのも難しくなっている。
 硫黄山の駐車場に友人は車を止めた。僕はこれで三度目になる。初めて来たのは、二十一歳の時だった。サークルの仲間に教えられて、移動車で販売していたソフトクリームを食べた。二度目は三十三歳の時で、開業したレストランで売っていた。今回もまた、乳脂肪分たっぷりのソフトクリームを食べた。
 レストランの裏側では、崩れかけた山体のあちこちから、硫化水素が噴き出している。卵の腐った匂いが漂っている。噴き出すガスで、ところどころ霞がかかっている。平野の真ん中に、何でこんな荒涼とした山が、と思ってしまいそうだが、ここはカルデラの内側である。火口の底を歩いているというわけだ。地下深くには遠い未来に巨大噴火を起こすマグマが、今も眠っているのだ。辺りに響く轟音は、魔物のいびきを聞いているようなものだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 01:20| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする