2017年08月15日

ぼくはネコなのだ(52)

 いい加減、ぼくは腹が立った。兄貴を小学校に連れていったばかりに、しっぽを持って振り回されるし、こちらがどれだけ心配していたかも知らずに、えさに釣られてまたのこのこ出かけていこうというのだから。
「兄貴は食べるために生きているんだろ!」
「何言ってる。おまえこそ、愛想がないから何ももらえなかったんだ!」
 ぼくは我慢ができなくなった。いつものように、兄貴はこっちに来いとしっぽを振った。それを合図にぼくは兄貴に飛びかかった。普段ならそこで首根っこをつかまれ、投げ飛ばされるところだったが、いつの間にか兄貴と互角の体になっていた。
 人間たちは二匹のけんかを面白がってる様子だった。とくに、髪の短いおじさんは手をたたいて喜んでいる。ぼくは兄貴を追い回した。うちの中を何周回ったろうか。しまいには、兄貴は紙袋の中に逃げ込んだので、ぼくは袋の口を後ろ足で押さえると、兄貴を袋の中に閉じ込めた。身動きできなくなった兄貴の頭やお腹を、思う存分なぐってやった。すると、椅子に座っていたおばあさんが、変な歌をうたいだした。
「山寺の和尚さんは、毬(まり)は蹴りたし毬はなし。猫を紙袋(かんぶくろ)に押し込んで ポンとけりゃニャンと鳴く……」(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!


posted by 高野敦志 at 02:46| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

青海の白い雲(ePub)

 チベット旅行記『懐かしのチベット』の続篇です。2000年(平成12)の夏に、チベット人が居住する青海省から甘粛省にかけて旅した記録です。今回は日本人は僕一人で、中国人のガイドと運転手の三人で行動しました。『青海の白い雲』と名づけることとし、エッセイ「チベット人との語らい」を加えました。
 以下のリンクからダウンロードして下さい。
Qinghai.epub

 iTunesからダウンロードする場合は、ミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。
 IEでダウンロードした場合は、拡張子をzipからepubに変えて、下記のアプリでご覧下さい。

 ePubはiOSのiPadやiPhoneなどで読むのに適した形式です。iBooksなどでご覧下さい。Windowsでは紀伊國屋書店のKinoppy(http://k-kinoppy.jp/for-windowsdt.html)が、最も美しくePubのファイルを表示します。

 ブラウザからePubを開く場合、Edgeならプラグインなしで読めます。Googleのchrome(https://www.google.co.jp/chrome/browser/desktop/index.html)なら、プラグインのReadium(http://readium.org/)をインストールして下さい。
 firefox(https://www.mozilla.org/ja/firefox/new/)にもプラグインのEPUBReader(https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/epubreader/)があり、縦書きやルビなどにも対応しています。

 なお、パソコンのiTunesで「購読」したり、iOSのアプリpodcast(https://itunes.apple.com/jp/app/podcast/id525463029?mt=8)でマイpodcastに登録すれば、確実に新しいエピソードが入手できます。 


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 02:35| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月14日

豊見城の海軍司令部壕(1)

 翌日はやや雲が多かった。那覇バスターミナルから、豊見城(とみぐすく)城趾公園に出た。沖縄がまだ三国に分かれていた時代、南山王の汪応祖(おうおうそ)が、漫湖を見下ろす地に建てた城で、琉球王国を統一した中山王の尚巴志の攻撃を受けて落城した。城壁や石門も撤去されて、往時をしのぶ物はない。
 僕がここを訪れたのは、南山王の遺跡を求めたからではない。この地下に沖縄戦を指揮した海軍の司令部が置かれていたからである。前回、沖縄を訪れたとき、時間の関係で見学することができなかった。次に訪れるときには、沖縄戦の記憶をとどめる壕を、ぜひ自らの目で確かめたいと思っていたのだ。
 海軍司令部壕は城趾公園の外、坂道を上った頂にあった。コンクリートに漆喰を塗った当時のトンネルが姿を現した。その途端、そこを出入りしていた兵士たちの重苦しい気分が伝わってきて、ぞくっと背筋が寒くなった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 02:42| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする