2020年03月09日

詩人と政治家

「景気が良くなれば、必ず不景気から抜け出せます。私はそう信じている」という大臣の発言で、気軽に詩を作るという風潮が生まれた。
「海外に日本人の富を流せば、日本人は貧しくなります。私はそう信じている」
「人口が六千万人になれば、日本の人口は半減します。私はそう信じている」
「除染土を農地に使えば、除染土の袋は福島から消えます。私はそう信じている」
「コロナウイルスの検査をしなければ、日本の感染者数は少なくなります。私はそう信じている」
 コンクールに寄せられた詩はどれも似たり寄ったりで、換骨奪胎は日本の伝統という意見が出たものの、元の詩に価値がないのでいずれも愚作ということで、受賞者なしと決定した。


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2020年02月28日

凡才バカモン

 仏様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。ふと御佇みになって、水の面を蔽っている蓮の葉の間から下界をご覧になると、「西から昇ったお日さまが」という音楽が聞こえて、テレビでアニメが放送されていました。名家のお坊ちゃまが幼い頃から嘘をつき続け、悪政で民衆を苦しめた上に、連日の酒宴に溺れて国を滅ぼすという話でした。仏様はお顔を上げて首をお振りになると、大きく嘆息をなさいました。
「これは私の作ったギャグ漫画のパロディーか。バカボンとは薄伽梵、つまり私のことなのに、バカモンとは何事か。こんな悪人は来世は畜生界に堕ちて、酒池肉林の糧にされてしまうであろう」と仰せられました。


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2019年12月21日

体外離脱

 自分そっくりの青年が歩いていた。知らないうちに、魂だけが抜け出してしまったんだろう。そこで、青年の体に戻ろうとしたのだが、皮膚で跳ね返されて入れない。どうやら先客がいるらしい。
 僕は抗議したのだが、相手の声を聞いて仰天した。僕の体の中に入っていたのは、何と親父だったのだ。通りのガラス窓に自分を映してみると、そこには親父の姿があった! 魂が入れ替わってしまったのだろう。元に戻ってくれと説得したのだが、親父は若い肉体の方がいいと言い張った。正気に戻そうと親父を揺さぶったところ、逆に腕をつかまれてしまった。
「親父、いい加減にしろよ」
 よく見ると、そっくりだったのは僕の息子で、自分は初老の親父だったのだ。


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