2018年07月05日

国会は銭湯か!

 某国の首相は、民衆を臣下として隷属させたかった。平和をうたった憲法9条が邪魔だったので、国中から9のつく数字を消し去った。それに反発する人権団体は、国会を見学する際の持ち物検査をすり抜け、傍聴席に着いた途端に上着を脱ぐと、背番号の「9」を一斉に見せた。怒号が上がり、警備員が団体を連れ去ろうとしてもみ合いになった。
「何で背番号で排除されなければならないんだ! 入れ墨してるわけじゃあるまいし」
「銭湯で入れ墨してたら、周囲の人が不快に思うでしょう?」
「国会は銭湯か!」
 騒ぎの一部始終はスマホで録画され、海外のドキュメンタリー番組で放送された。
「なるほど、ぬるま湯だから、みんなうたたねしてたわけか」


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 02:08| Comment(0) | ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月05日

西郷の覚悟

「どげんしても鹿児島に帰られるとですか」
「もう新政府にはうんざいしたんだど。幕府を倒したんは、家柄だ、何だとつまらんもん有い難がらずに、ほんに力あるもんが政する国にすっためじゃったんだ。そん志を忘れて、何が元勲だ、華族さまだ。おいは鹿児島で子弟の教育に携わるつもいだ。若い者はよかなあ。志を遂げられるかいけんか分からずとも、熱い思いば持っとう」
「おいが心配しとっとは、西郷どんが不平ば持つ輩に祭り上げられるんじゃなかかちゅうこっだ」
「人となりちゅうもんは、一生の間に作いあげたら、もうおい一人のもんじゃなか。考えとうことは違うても、世の中を変えたいちゅう思いがあれば、そいつらを見捨てうこたあでけん」


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 02:02| Comment(0) | ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月27日

猫は鎹(かすがい)

 無造作に雨戸を開けたせいで、可愛がっていた猫が逃げてしまった。
「どうして猫がいるのに気をつけなかったんだ!」
「私だってお母さんの世話が忙しいのよ!」
 妹は車椅子に母を乗せて、居間の方に連れてきた。妹がいらいらしていると、母は妹の肩の辺りを思いっきりつねった。
「何すんの、お母さん、そこ、私がけがしてるところなのよ……」
 顔を押さえると、泣きそうな声で流しの方に駆けていった。当の母の方は、自分が何をしたかも忘れてしまったらしい。
「わたし、なにかしたのかしら」と澄まし顔。
「それはね、いじわるばあさんって言うんだよ」
 けさ起きた一部始終を話すと、友人はぽつりと言った。
「猫がいなくなった途端に家庭崩壊だね」


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 04:42| Comment(0) | ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする