2019年09月18日

外面女菩薩内面如夜叉

 今は昔、天竺に御母と慕はれし耶蘇教の比丘尼ありけり。長者より慈善の金を集め、身寄りなき貧しき男女を養ひけり。病に倒れたる者にも療を施し、天女の化身と讃へられけり。しかるに、その実、幼き子らを人買ひに売り、巨万の富を得たり。苦しみに耐へてこそ、神の恩寵に与ることも叶ふべけれと説きて、慈善の金を医術に使ふも惜しみたり。売られたる子の多くは、淫欲に耽る獣の如き者共の餌食となり、無慙なる最期を遂ぐる者も少なからず。これ天魔波旬の行ひにあらずや。死して聖女に祭り上げられしも、因果応報の理により無間地獄に堕ち、百千万阿僧祇劫の間業火に焼かるる定めに、魔王へ助けを求めたるはいと浅ましとなむ語り伝へたるとや。


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2019年09月16日

因幡の白狒々

 神代の時代、一匹の白うさぎが、隠岐から因幡に渡りたいと思っていました。そこで鮫に向かって「鮫の一族とうさぎの一族と、どちらが多いか数えよう」と言いました。鮫の一族が海峡に並ぶと、その上をぴょんぴょん飛んでいきました。、
 うさぎが渡っていったのを、隠岐に住む白狒々が見ていました。この狒々は猿でありながら、口が達者で島の動物を騙して、不正な富を蓄えておりました。因幡の動物たちも騙そうと「鮫の一族と狒々の一族と、どちらが多いか数えよう」と言いました。狒々は鮫の頭を踏みつけ、魚のおつむで偉そうにしやがってとつぶやきました。それを聞きつけた鮫は、海峡の真ん中で狒々を落とし、一族で食い物にしてしまいました。


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2019年09月14日

平清盛公出生秘話

 今は昔、京の都に平朝臣清盛公と申しし人ありけり。父忠盛は眇と揶揄されし地下人なりしが、白河院の寵愛受けたる祇園女御を下されしより、昇殿許されけり。この女御、容姿端麗なりしが素性詳らかならず。西域より渡りし白拍子にて、酒席もてなす生業をせしが、日の本を調略せんとする異国の密命を帯びたるとなむ伝へける。清盛が太政大臣に出世せしは、白河院のご落胤にあるのみならず、女御の援護ありしためなり。覇道によりて天下を掌握し、六波羅に金殿玉楼を構へ、平家にあらずんば人にあらずと増長せしが、ほどなく熱病にて失せ給ひぬ。つひに一族西海の藻屑と消へたるは、畢竟、帝位簒奪の企みをなしたる天罰となむ語り伝へたるとや。


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