2017年08月12日

人工知能の会話

 博士は人工知能による会話の実験を行っていた。国語力の落ちた政治家が記者から思わぬ質問をされても対応できるように、想定問答を作らせる機能を開発していた。ある質問を入力すると、インターネットに接続された人工知能が、自動で会話を始めるという仕様となっていた。そこで博士は「市場の移転について、方針が決められた経緯を話してください」と入力した。
「記録は残っておりません」
「それはおかしいですね。情報公開するという知事の方針に逆行するんじゃありませんか」
「それは私が人工知能、AIだからです」
 そこまで会話が進んだところで、人工知能は「AIAI、AIAI、AIAI、AIAI、おさるさんだよ〜」と歌い出した。

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2017年04月22日

桃太郎生まれず

 むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。その二人を密告した者がおりました。おじいさんは国司の林で薪を取った罪で、おばあさんは流れてきた桃を勝手に持ち帰った罪で検非違使に捕らえられ、ともに獄死してしまいました。押収された桃も、何者かが食べてしまいました。
 その頃、都では人に化けた鬼が重税を課して、民を苦しめておりました。本来なら桃太郎が生まれて、鬼どもを退治するはずだったのですが、国の乱れは治まることなく、いつになったら正義がもたらされるのかと、帝は御心を悩ませ給うのでした。めでたくなし、めでたくなし。

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2017年04月10日

自動消去装置

「では、財務省のコンピューターは、一定期間が過ぎると文書が消去されてしまうというのですね。あなた、国民をばかにしていませんか。パソコンのデータは、ゴミ箱に捨ててしまっても、単に上書きして見えないようにしているだけで、ハードディスクそのものを初期化しない限り、データは復元されるんですよ」
「本当です(^。^;) 一定期間経つと自動的に……」
「では、保存すべきデータが消えてしまったら、どうなさるんですか」
「本省のコンピューターは忖度する機能がついておりますので、政府にとって不利な情報のみが消去される仕様となっております」
「では、不利な状況かどうかは、誰が判断するんです!」
「すべては閣議決定です……」

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