2020年08月06日

渡辺貞夫の《PARKER’S MOOD SADAO WATANABE LIVE AT BRAVAS CLUB’85》

 チャーリー・パーカーの後継者として、ソニー・スティットやキャノンボール・アダレイがよく挙げられる。ソニー・スティットの場合、チャーリー・パーカーに余りに似ていると言われ、一時はサックスをアルトからテナーに変えたり、意識し過ぎた傾向がある。スティットはレスター・ヤングの影響も受けており、情感を込める歌心では、チャーリー・パーカーにまさるとも劣らなかった。一方、キャノンボール・アダレイは、堂々とした男らしい演奏で、力強さの点ではチャーリー・パーカーにまさっていた。
 ただ、多くの楽曲を生み出した作曲家としての側面を見れば、チャーリー・パーカーが圧倒的な優位に立つ。ところで、日本のサックス奏者でチャーリー・パーカーに迫る実力を持つのは、渡辺貞夫をおいていないだろう。
 渡辺貞夫はチャーリー・パーカーの曲調を守りながら、数分で終わる原曲をさらに発展させ、パーカーにあっては即興の創造であったものを、完璧な域にまで展開している。それは短命で終わったパーカーには許されないことだった。
 チャーリー・パーカー関連の渡辺貞夫のアルバムで、僕が聴いたものは三つある。《Bird Of Paradise》バード・オブ・パラダイス(1979)、《PARKER’S MOOD SADAO WATANABE LIVE AT BRAVAS CLUB ’85》パーカーズ・ムード(1985)、《Dedicated To Charlie Parker》チャーリー・パーカーに捧ぐ(1989)だが、1985年のパーカーズ・ムードが録音状態の面でも、渡辺貞夫の情感のこもった演奏でも、ピアノやベースの乗り具合、観客の熱狂ぶりでも群を抜いている。ライブでの観客の反応を受けて、限界に向かって駆け上がる高揚を感じる。ライブの会場に引き寄せられ、音空間に浸りきる幸せを感じさせてくれる。
 こんなに感動させられるアルバムは久し振りで、渡辺貞夫の実力に圧倒させられた。実はAmazon Music HDで聴いたのだが、敬意を表する思いでアルバムを購入した。ジャズが好きな友人がいたら、ぜひこのアルバムを薦めてほしい。MP3などの不可逆圧縮などではなく、できればオーディオかヘッドフォンで、最高の環境で聴いてほしい。


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ビーバップとその周辺(pdf)

 ビーバップBebopとは、1940年代に起こったジャズのスタイルで、神業とも思える速さで原曲をアレンジし、即興演奏するジャズの一派です。チャーリー・パーカーをはじめとするミュージシャンのアルバムについて、恣意的な好みで選んだエッセイ集です。これを読んで好きなアルバムを、ぜひ見つけて下さい。今回パソコンですぐに開けるpdf形式でアップロードします。Adobe Acrobat Readerの「フルスクリーンモード」だと、バーチャルな書籍がモニターに再現されます。以下のリンクからダウンロードできます。
Bebop.pdf

 iTunesからダウンロードする場合は、マイミュージック→iTunes→iTunes Media→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。大部分のパソコンにインストールされているAdobe Readerで読むことができます。

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2020年08月03日

映画「バード」について

 ジャズの神様と呼ばれるチャーリー・パーカーの晩年に焦点を当てた作品。バードは彼の愛称である。1954年、娘の死と仕事の行き詰まりで、バードはヨードを飲んで自殺を図る。死のおよそ半年前のことである。
 16歳の時にすでに麻薬中毒になっていたバードは、潰瘍が悪化して激しい痛みに襲われていた。それを和らげるのが麻薬で、手に入らないときは酒で紛らわし、演奏がうまくいかなかったり、激痛に襲われた時は周囲に当たり散らしていた。バードの妻チャンは、入院させた病院がショック療法を施そうとしているのを知り、彼の音楽的才能が損なわれるのを恐れて、退院させることにする。
 バードのファンであるレッド・ロドニーは、トランペットを吹いていた。バードはバンドにロドニーを加えるが、ある日、バードはロドニーも麻薬中毒に陥っていることを知る。麻薬をやれば、バードのような神業の演奏ができると誤解していたのか。麻薬自体は演奏する能力を奪うもので、中毒による激痛を抑えるために麻薬をやって、さらに体を壊したり、警察に逮捕されたりで、身も心もずたずたにしてしまう。ロドニーの中毒を知ったバードは、「ローラ」を演奏しながら涙を流す。
 すでにジャズの流行は去りつつあり、ストリップとロックンロールが人気を集めていた。客が入りさえすればいいという態度に怒りを感じたバードは、奏者のサックスを奪ってジャズの即興演奏を始める。会場は大騒ぎになる。
 生身のバードは「ジャズの神様」どころではなかったのだ。ただ、親友のディジー・ガレスピーは、殉教者であるバードが、改革者である自身より愛されていることを知っていた。どうしようもない奴だと思いつつも、愛さずにはいられない友情で結ばれていた。
 最後に、バードがパトロンの男爵夫人ニカのもとで、心臓麻痺で亡くなったとき、医師は推定年齢65歳としたが、現実はまだ34歳の若さだった。最高の演奏が手に入っても、能力を維持するのは困難で、苛立ちを紛らわすために、麻薬と酒に溺れてしまう。すると、ますます健康を損ない、お座なりの演奏しかできなくなる。泥沼にはまっていくのである。
 技術面で注目されたのは、チャーリー・パーカーの演奏のみを抜き出して、現代のジャズ奏者と共演させた点である。チャーリー・パーカーの演奏は本人にしかできないということだが、録音状態がよくないバードの演奏を、臨場感のある音で映像と合わせるには、そうした裏技が必要だったのである。映画を見る限りは気にならないが、音楽だけ聞いていると、バードの音のみが浮き上がっている気がする。


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