2018年09月21日

MQA-CDの空間再現性について

 昨日はMQA-CDをヘッドフォンで聴くことを勧めたが、改めて聴き比べてみると、数年前のソニーのヘッドフォンと、昨年買ったパナソニックのイヤフォンでは、最新の技術によるためか、後者の方に軍配が上がると感じた。
 確かに、ヘッドフォンだと振動がはっきり体に伝わってくるのだが、解像度の点では劣る気がした。それほど、パナソニックのHDE3Mは、「バランスに優れた奥行きのある解像感」と銘打つだけのことがあるのだ。店頭で9000円で売っていたが、Amazonでは5000円で買える。楽器の音を忠実に再現するので、クラシックやジャズに向いている。
 同じMQA-CDでも、マスターテープの録音状態や、楽器の種類によって空間再現性に差が出てくる。ピアノやギターは生々しく、ドラムの迫力には圧倒され、ボーカルの息づかいも目に見えるようなのだが、サックスやトランペットの響き渡る空気感には痺れてしまう。ジャズで特に気に入っているのは、キャノンボール・アダレイの《サムシン・エルス》と、リー・モーガンの《キャンディ》。生演奏でなければ聞けない音を再現しているので、ユニバーサルミュージックには、ぜひジャズの第2弾も出してもらいたい。個人的な希望としては、アート・ペッパーやソニー・スティットのMQA-CD版をお願いしたい。
 あと、購入する上で気をつけるべきなのは、MQA-CDを検索すると、通常のCDも一緒に出てきてしまい、しかも値段が同じだったりするので、誤って購入する恐れがあるという点だ。この超絶的な高音質は、サンプリング周波数352.8KHzと、UltimateHQCDという高級な素材によるのだから。


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2018年09月20日

MQAをヘッドフォンで聴く

 MQA-CDが発売され、興味本位でサンプラーを買ったら、余りに素晴らしい音で、もう10枚以上買ってしまった。今の若い人は聞き放題の圧縮音源で満足しているようだが、ハイレゾ用のイヤフォンを持っているなら、MOAに対応したウォークマンや、Xperiaなどのスマホで、試聴用のファイル(http://www.2l.no/hires/)を聴いてみるといい。
 さて、僕はもっぱらMQA-CDをデコードして、ウォークマンで聴いている。専用のオーディオは金持ちしか買えないからだ。パソコンに有料ソフトをインストールし、MQA対応のDACからスピーカーにつなぐことも考えたが、ハイレゾを再生するには、10万程度の投資は避けられない。
 真夏の間はウォークマンに、ハイレゾ対応のイヤフォンをつないで聴いていた。ヘッドフォンが暑苦しかったからだが、ハイレゾ対応のヘッドフォンにつないだらびっくりした。重低音が頭蓋骨を通して体に伝わってくるからだ。イヤフォンでは解像度が素晴らしくても、あくまでも鼓膜の振動で聴いている感じだ。
 体で音を聴きたいなら、スピーカーで大音量を出せばいいわけだが、それが難しいならヘッドフォンを使えばいい。これと同じ振動をイヤフォンで体に伝えようと思ったら、鼓膜が破れてしまうだろうから。



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posted by 高野敦志 at 10:26| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月18日

John Coltraneの《Blue Train》

 ジョン・コルトレーンが1958年に発表したアルバムで、リーダーを務めたものとしては、ブルーノートから出した唯一の作品。ジャケットもブルーな印刷で、ブルーな表情の30そこそこのコルトレーンが写っている。
 コルトレーンの初期のアルバムで、この9年後には亡くなっているから、頭角を現してから弾丸列車のように駆け抜けていったわけだ。コルトレーンのサックスほど、作品によって音色が変わる例も珍しい。《My Favourite Things》の執拗な反復や、晩年のフリージャズにはついていけない人も多い。その点、初期のアルバムは聴きやすいし、メロディーを破壊していない。とはいっても、アドリブで変奏していく技術は、神業としか言いようがない。
 1曲目はアルバム名となったBlue Train。コルトレーンの作曲で、出だしはその名の通り、ブルーな陰鬱な感じで走り出すが、いったん全速力となると、チャーリー・パーカー顔負けの即興演奏となる。初期の頃のパーカーのように、音そのものの自在な戯れが延々と続く。
 2曲目のMoment's Noticeもコルトレーンの作曲で、後に多くのアーティストによって演奏され、スタンダードとして愛されている。タイトルは「一瞬の気づき」という意味で、溌剌とした力強さと、繊細な息づかいで元気づけられる。このアルバムの中で、コルトレーンの多彩な側面が味わえる傑作である。
 3曲目のLocomotionは、移動や転移といった意味で、コルトレーンのサックスと、リー・モーガンのトランペットの掛け合いが素晴らしい。成人したばかりのリー・モーガンのトランペットは、コルトレーンのサックスを超えるほどの演奏力なので、負けじとコルトレーの馬力も上がる。
 4曲目のI'm Old Fashionedは、『晴れて今宵は』You Were Never Lovelierという映画のために作られた曲。3曲目までとは異なり、コルトレーンのサックスものびやかで、ほのぼのとした抒情的な演奏となっている。ケニー・ドリューの控えめなピアノ伴奏が、昔かたぎなというタイトルが示すような、レトロな懐かしさを呼び覚ます。
 5曲目のLazy Birdはジャズのスタンダード、Lady Birdを意識したタイトルで、同じくスタンダードのLover Manのバリエーションとして作曲されたという。タイトルだけ見ると、怠け者のバードなので、怠惰なチャーリー・パーカーをイメージした曲なんだと、僕は勝手に考えている。
 ダイヤル版のLover Manで、バード(チャーリー・パーカーの愛称)は、泥酔状態でふらふらになりながら演奏している。ジャズの神様とまで言われても、こんなボロボロになってしまうんだという思いと、意識が途切れそうになりながらも、メロディーが吹ける点では天才なんだという複雑な思いにさせられる。3年前に死んだバードへの愛惜の念を込めて、コルトレーンはサックスを吹いているんだろう。


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