2018年07月01日

阿蘇は生きている(9)

 ユースホステルに戻った。同じ部屋に泊まっていた青年が、黒い犬と一緒にいたことが分かった。あの犬と杵島岳を登っていくと、中岳の火口が風上部分だけ見えたそうだ。本当はバスに乗りたかったのだが、犬がついてきていたので、帰りも登山道を一緒に戻ってきたとのこと。
 実は、黒い犬はユースホステルで飼っているわけではなく、誰かが連れてきて、そのまま居着くようになったらしい。知らない者でも温かく迎えてくれる宿だからこそ、犬にとっても居心地がいいんだろう。泊まりに来る若者にすぐになついて、阿蘇を駆け巡っているいうわけだ。
 夜は知らない者同士、雑談をするのが楽しみである。会ったばかりの相手なのに、身の上話なんかしている。名古屋から来た大学生は、雨天でバイクのエンジンが止まりそうになったのをこぼしていた。パチンコ屋でバイトしているんだが、プロレスをけがしてやめた人などもいて、話をするだけでも面白いと言っていた。


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2018年06月29日

阿蘇は生きている(8)

 今度は草千里の左方にある丘に登った。ここからは中岳が迫って見える。下のカルデラには人っ子一人いないので、広大な草の窪みを我が物としたような気になった。
 向かいの先ほど登った丘では、数人の人影が動いている。ふざけ合った声が伝わってくる。耳を打つ風の音が聞こえた。独りになるのがこれほど心地よいとは、今まで思ったことがなかった。町の中で見知らぬ人に囲まれているのとは対照的な、安らぎに満たされていた。大自然の懐に抱かれるというのは、こうした感覚を言うのだろう。
 午後五時過ぎのバスで、ユースホステルに戻ってきた。ただ一つ、気がかりだったのは、山上までついてきた黒い犬のことである。あの人なつっこさが災いして、草千里に取り残されてしまったのではないかと思ったからだ。(つづく)


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2018年06月27日

琉球弧を旅して(pdf)

 沖縄本島、久高島、宮古諸島、石垣島、竹富島、西表島と巡った若き日の記録です。中国と日本の文化が融合し、本土とは異なる歴史を歩み、亜熱帯の自然が広がる沖縄は、日本であって本土にはない光景が広がっています。青春が終わりかけた頃に訪れた沖縄への思いがこもっています。

 今回はパソコンですぐに開けるpdfをアップロードします。Adobe Acrobat Readerの「フルスクリーンモード」だと、バーチャルな書籍がモニターに再現されます。以下のリンクからダウンロードしてください。
Ryukyu.pdf

 iTunesからダウンロードする場合は、ミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。

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