2018年05月18日

しまなみ海道は尾道から(6)

 尾道に向かって必死に自転車をこいだ。標識に導かれるままに進むと、行きに上陸したのとは違う船着き場に着いた。向島の東部にある別の港で、川の中ではなく尾道水道に面している。
 昔の中国人が瀬戸内海を見て、日本の河もなかかやりますなあと洩らしたというが、海峡といっても大陸の河よりも狭い。ただ、泳ぎの得意な者でも、潮の流れが速い時間には流される。潮止まりを狙えば、渡りきれるらしいのだが。向島に逃げ込んだ脱走犯も、一番幅が狭いこの辺を渡って広島に逃げたところを、警察に身柄拘束されたという。
 乗船時間も短かった。対岸にロープウェイが見えた。千光寺公園に登るためのもので、無意識のままに最短コースを選んでいたことになる。自転車を引いて下船すると、まっすぐロープウェイの駅を目指した。路地に入っていったのだが、自転車を置くスペースが数台分しかない。そこに自転車を置き、小さなエレベーターに乗った。(つづく)


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2018年05月16日

しまなみ海道は尾道から(5)

 海辺の様子を写真とビデオで撮し、白い恐竜も写真に収めた。因島大橋の因島側の手前に展望台があるので、そこに行ってみることにした。急な斜面に設置された歩道を進むと、因島大橋の全貌を収めるのにベストな眺望が開けていた。写真に撮ると、ベンチに腰を下ろし、しばし時の過ぎるのを忘れる。
 しまなみ街道を一日で走破できるだろうか。電動自転車では、バッテリーが途中で切れるから、どこで充電するかという問題が生じる。そのせいで、日をまたいでの貸し出しはしていない。となると、昔ながらのサイクリング車でということになるが、若者のようなバイタリティーはもうない。電動自転車で走破するのは、やはり無理か?
 我に返った。カメラをしまうと、荷物をまとめて自転車にまたがった。「あとは止まらずに走ろう」と友人に促された。因島大橋を渡ってしまうと、ひたすら元来た道を戻っていく。とは言っても、向島の海岸に沿って進むと、並木の向こうの海が午後の光を浴びてきらめいている。凪いだ海の上に無数の漁船が漂っている。宮城道雄の「春の海」という箏曲を思い出した。盲目の眼が想像した水面の光を、弦の調べに換えたものだ。あれは鞆の浦だから、ここからそれほど遠くはない……。(つづく)


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2018年05月11日

しまなみ海道は尾道から(4)

 ゆるやかなカーブを描きながら、大した上り下りもない道が続いていく。今走っているのは、厳密にはしまなみ海道ではない。一般車道に設定されたサイクリングコースなのである。やがて赤い鉄橋が見えてきた。あの橋の向こうが因島かと思ったが、そうではない。岩子島(いわしじま)というのだそうだ。因島大橋はその先にある。はるか天上をまたぐ形で、向島と因島をつなぐ吊り橋である。そのため、因島大橋の下を潜った後、カーブする坂をぐいぐい上りながら、因島大橋の一階に設置された自転車道と歩道の高さまで行く。電動自転車のおかげで、平地と大して変わらぬ重さで坂道は上れた。
 因島大橋は二階が車道となっているので、自転車道と歩道は薄暗い。ほぼ平らなのだが、吊り橋なので多少たわんでいるようだ。渡りきると、またスロープが続いている。下りでペダルを踏まないと、車輪の回転が重くなり、発電された電気がバッテリーにチャージされていく。
 友人の自転車が見えないので停車すると、しばらくして追いついてきた。白い恐竜の像があったから写真を撮っていたそうだ。因島アメニティ公園のことらしい。戻ってみると、目の前は大浜海水浴場で、トイレやシャワー、更衣室が設置されている。ジャージを着た子供たちが、砂浜沿いを走らされている。自分としては、因島水軍城ぐらいまで行きたかったのだが、一時間半走ったところでUターンしないと、間に合わなくなるとのこと。(つづく)


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